学生にできる対策・相談方法とは? 大学生のためのブラックバイト対処法

学生探偵がアルバイトにまつわる疑問を徹底調査!

バイトスクープ 調査File.18

学生にできる対策・相談方法とは?

大学生のためのブラックバイト対処法

今回の依頼内容

友だちのバイト先がどうやらブラックバイトみたいです。もちろん自分でなんとかしないといけない問題なのでしょうが、ひとりで対応するのもつらいようです。どこかに相談できないのでしょうか?

< 依頼者 > サンドウィッチウーマン(19)/大学生/東京在住

今回の調査担当
  • 田中永梨依(21)早稲田大学
    政治経済学部3年生

ブラックバイトかな?って思ったときはどうする?

何かと話題になっているブラックバイト。試験前なのに勝手にシフトを入れられた、お給料が30分ごとしか出ない、面接では言われていなかったのに店長から突然ノルマを伝えられた、アルバイトを辞めたいのに辞めさせてもらえない...など。もしもブラックバイトだったら?友だちがブラックバイトで悩んでいたら?大学は学生を助けてくれないの?いったいどうすればいいのでしょうか。早稲田大学学生部とブラックバイトユニオンさんにお話をうかがいました。

早稲田大学から出版!『ブラックバイト対処マニュアル』

ブラックバイトに悩んだとき、大学は助けてくれないの?という依頼者の疑問に答えるため、早稲田大学の学生部に話を聞きました。早稲田大学では『ブラックバイト対処マニュアル』という小冊子を出版しています。ブラックバイト・チェックシートやトラブル別の対処マニュアル、巻末には相談窓口がまとめられていて、早稲田大学生協ほか、一部大型書店で取り扱われています(税抜500円)。『ブラックバイト対処マニュアル』出版の経緯、ブラックバイトへの対処法について、早稲田大学学生部の関口さんにお話をうかがいました。

――『ブラックバイト対処マニュアル』はどういうきっかけで作成されたのですか?

「2015年に早稲田大学出版部から、社会問題となっているブラックバイトについて大学として学生のためになるものをつくりたい、という相談を受けたのがきっかけです。当時早稲田大学で労働法を教えていらっしゃった石田眞先生と竹内寿先生を中心にそのゼミの学生が協力して企画・出版しました。2016年以降入学した新入生に無料配布しています」

――新入生に『ブラックバイト対処マニュアル』を配布するのには何か理由があるのですか?

「ブラックバイトから学生を守りたいという意味からです。知識さえ持っていれば防げる問題もたくさんあります。高校生のときにバイトを経験している学生もいるとは思いますが、より本格的にバイトを始める中で、はたらくことに関する知識の重要性を知っておいてほしいと思っています」

――出版後、学生部にブラックバイトに関する相談は寄せられましたか?

「新入生から数件の相談がありました。相談を受けていて感じたのは、バイトだから法律なんか関係ないと思っている、労働法の知識が少ない学生が多いことです。学生部で相談に乗ることもありますが、学内のよろず相談室である『学生相談室』なども紹介しています。ブラックバイトで悩んでいるときに誰かに相談することはとても勇気がいることなので、しっかり相談には乗りたいです」

――『ブラックバイト対処マニュアル』のブラックバイト・チェックシートを行ってみましたが、チェック項目が細かくてわかりやすいなと思いました。

「ブラックバイトなんて関係がないと思っている人も、自分のはたらきかたを見直してみるいい機会になると思います。チェックシートは17項目あり、自分のチェックがついたところを詳しく確認することができます」

バイトも労働契約

――実際にブラックバイトについて相談する、話すとなると勇気がいりますよね。

「そうですね。バイトもひとつのコミュニティで、人間関係が生まれます。人間関係がぎくしゃくしてしまって、はたらきにくくなることを心配する気持ちはわかります。ですが、バイトであっても、れっきとした労働契約です。法律によってきちんと権利が認められています。学生の皆さんは、バイトにおける労働条件の知識を持つべきだと思います。たとえば「労働条件通知書」というものがあるのですが、これは法律によって労働者への交付が義務付けられています(※)。バイトの場合は、契約であるという意識を学生の皆さんに持ってもらいたいですね」

――学習塾ではブラックバイトを解決するために『安心塾バイト認証制度』という取り組み(※)がありますが、そういった取り組みに対してどう思われますか?

「とても良い取り組みだと思います。早稲田大学学生部でも、塾講師や家庭教師のバイトの紹介を行っていますので、その際に『安心塾バイト』に認定されている塾があると、こちらからも紹介しやすいです」

※参考記事
バイトの「労働条件」は書面で交付してもらってください
https://weban.jp/contents/guide/horitsu/001.html
みんなのバイトにまつわる 11の疑問を弁護士さんに相談!
https://weban.jp/contents/guide/scoop/013.html
『安心してバイトできる塾』の認定制度がスタート!
https://weban.jp/contents/guide/scoop/007.html

ブラックバイトの改善に努める団体
『ブラックバイトユニオン』に話を聞いてみました。

ブラックバイトに悩む学生の相談を受け、解決策を導く活動をしている「ブラックバイトユニオン」という団体がありました。ブラックバイトユニオンの代表を務めていらっしゃる渡辺寛人さんにお話をうかがいました。

――ブラックバイトユニオンはどういった経歴で設立されたのですか?

「もともと“POSSE”という労働問題に取り組むNPO法人として活動していました。2012年ごろから大卒の新入社員が使い潰されるブラック企業の問題が社会化し、2013年から2014年には学生バイトが違法な労働環境におかれるブラックバイトが社会的に問題になり始めました。こうした問題に労働組合という形で取り組もうと考えて“POSSE”の仲間やブラックバイト問題を抱える学生と一緒に2014年にブラックバイトユニオンを立ち上げました」

――どうしてブラックバイト問題の対策に取り組もうと思われたのですか?

「もともと“POSSE”で会社員のブラック企業の問題に取り組んでいました。ブラック企業に悩む会社員は生活がかかっているし、企業と交渉するのが大変なんです。その点学生はバイトをやめても学生という立場が残るので、改善のための声を上げやすい。違法な労働環境におかれたときの選択肢は、基本的には我慢してはたらくか、辞めるか。その後に、労働環境を変える・はたらきやすい職場をつくるという選択肢があると思うんです。そのような選択肢を増やすためにも、ブラックバイト問題の対策に取り組んでいます」

――ブラックバイトユニオンへの相談後の流れを教えてください。

「まずは寄せられた相談内容についてどこがおかしいのか法律的な観点から整理します。ブラックバイトに悩んでいる人は『自分が悪いんじゃないか』という思いを抱えている場合が多いのですが、自分が悪いのか、それともバイト先に問題があるのかを整理していきます。その後、問題に対してどういう解決策があるのかを一緒に考えていきます。たとえば労働基準監督署を使ったり、学生の場合ではまれですが、司法を用いて裁判に至るケースもあります。ユニオンに入ってもらい団体交渉権を使って企業と交渉をすることも多いです」

――団体交渉のメリットを教えてください。

「はたらきやすい環境にするため職場に新しいルールをつくることができます。たとえばこれまで話し合いを通じてシフトに融通を利かせてもらうことや、自腹購入ができないようルールをつくる、賃金計算を1分単位に改めてもらうなどの交渉をしてきました。そして、ユニオンで行動すれば個人的な解決だけではなく、周りのバイトの状況の改善にもつながります。ひとりの声が全体を変えるきっかけになるのは、ユニオンで行動する大きな意義だと思いますね」

高校生も大学生もバイトを通してはたらくことを学んでもらいたい。

――お話を聞いていると、バイトも労働の知識の大切さについて考えさせられます。

「本当にそうですね。特に高校生は、何も知らない状態でバイトを始めるので、自分たちがどういう権利を持っているのか、どういう法律に守られているのかを知ることはとても大事だと思います。僕自身も、高校の先生から頼まれて、労働法について話をしに行くことがあります。ケーススタディやロールプレイを通じて、具体的な問題に対してどういう行動をとればいいのか一緒に考えています」

――実際にはたらく前にブラックバイトだと気づく方法はありますか?

「雇用者側には労働条件明示義務といって、時給や業務内容、いつはたらくのかといった内容を労働者に明示しなければならない義務があるので、労働条件を書面で提示しないバイト先は法律に詳しくない可能性が高く、気を付けたほうがいいかもしれません」

――バイトをする学生がブラックバイト対策として気をつけることを教えてください。

「はたらく上で正しい知識を身につけることに加えて、労働時間などの記録を自分でもしっかりとつけておくこと、そして何かあった際の相談先を知っておくことが大事だと思います。ユニオンに相談に来てくれる人に伝える4つのポイントがあります。

バイト先企業の言うことがすべてじゃない。「バイトには有給休暇はない」、「給料計算は30分単位」などとバイト先から言われることはよくあります。が、正しくはありません。労働法の知識をつけておきましょう。

② あきらめない・自分を責めないメンタリティーを持つ。会社は違法行為を正当化する際に、個人を責めてきます。自分が悪いのか悪くないのかと客観的に考えてみることが大事です。

③ 記録を残す。労働時間の記録を1分単位で記録しましょう。手帳でもスマートフォンでもいいので出退勤のメモをとることが大事です。録音をとるなどすると有効な交渉材料になります。バイト先からもらった契約書や給与明細なども保管しておきましょう。

④ 何かあったら専門家に相談する。少しでもおかしいなと思ったら、ひとりで悩まずに専門家に相談してくださいね

今回の調査で話を聞いた、早稲田大学の関口さんもブラックバイトユニオンの渡辺さんもおっしゃっていたのは「はたらく上での知識」の重要性でした。また関口さんの「責任感を持ってはたらくことが何よりも重要だ」という言葉も印象的でした。私を含め、私の友人も楽しんでバイトをしている人がたくさんいます。それでも何か起こったときのために、早稲田大学で出版されている『ブラックバイト対処法』を読んで基礎知識を身につけたり、ウェブなどで保管すべき書類などをチェックしたり、事前の準備が大事なんだなぁと思いました!

学生探偵による[調査報告] File.18

学生探偵 / 田中永梨依による報告

バイトをする人なら誰もが気になってしまうブラックバイト。ブラックバイトで苦しまないためには労働者に認められた権利や法律についての正しい知識を身につけること、万が一ブラックバイトに遭遇してしまったときの相談先を知っておくことが大切だと認識しました。正しい知識を身につけることが楽しいバイト生活につながります!

そのほか各都道府県の労働相談窓口や大学の学生生活課など、ひとりで悩まずにまずは相談してみましょう!

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