みんなのバイトにまつわる 11の疑問を弁護士さんに相談!

学生探偵がアルバイトにまつわる疑問を徹底調査!

バイトスクープ 調査File.13

これって、ブラックバイト!?

みんなのバイトにまつわる 11の疑問を弁護士さんに相談!

今回の依頼内容

バイトスクープに寄せられるアルバイトやシゴトにまつわる調査依頼で一番多いのが『雇用条件』にまつわる疑問です。はたらく上で、聞きたかったけど誰にも聞けなかった「これってどうなの?」という疑問を集めて、弁護士さんに聞いてみました。プロの法律家の観点から、バイトをするときに、知っておくべきポイントを教えてもらいましょう。

今回の調査担当
  • 藤井初芽(20)法政大学
    文学部地理学科3年

これってブラックバイト?
法的な見解を弁護士さんに聞いてみた

【今回、弁護士さんに尋ねた11の疑問】
1. 友だちのバイト先にはバイトなのに有給休暇がある!この差は何?
2. 飲食店がまかないを出すか出さないかは勝手なの?
3. バイトでボーナスが出るのは特別なこと?
4. 1日に取る休憩時間がバラバラ過ぎる!不定期休憩ってあり?
5. ショップ店員に自店の服を購入させるのは問題ないの?
6.「昇給あり」と書いてあったのに、さっぱり気配がない。それってどうなの?
7. バイトにノルマを与えることは問題ない?
8.「バイトのかけもち不可」ってどうして?
9. インターンシップとバイト、またバイトとパートの違いって何?
10. 車・バイク通勤の場合、交通費が支給されないことが多いのはどうして?
11. 源泉徴収、年末調整ってなんですか?

今回、『バイトにまつわる11の疑問』にお答えいただく2人の弁護士さんは、堤世浩さんと藤井希さんです。

弁護士 堤世浩さん(写真右)
赤坂野村総合法律事務所 パートナー弁護士
一橋大学法学研究科法務専攻修了、2008年弁護士登録(東京弁護士会)
企業・個人の民事・商事案件、倒産・M&A案件、相続案件などを取り扱う。

弁護士 藤井希さん(写真左)
赤坂野村総合法律事務所在籍
上智大学外国語学部イスパニア語(スペイン語)学科卒業後、ホテル、輸入商社、監査法人での勤務を経て、2013年弁護士登録(東京弁護士会)
所属事務所での業務のほか、弁護士会労働法制特別委員会の活動に積極的に参加。

1.友だちのバイト先にはバイトなのに有給休暇がある!この差は何?

※有休とは有給休暇のこと。有給休暇はお給料をもらうことのできる休暇。1年に付与される有給休暇の日数が労働基準法で決まっており、そのことを年次有給休暇という。略して年休や有休と呼ぶ。

藤井さん
バイトでも年次有給休暇(有休)が認められてます。実は「バイト」という言葉は、法律用語ではありません。会社に雇われてはたらいている人は、法律上、社員もバイトもみんな労働基準法上の「労働者」というカテゴリーになり、バイトも「労働者」なので、労働基準法に基づいて有休を取ることが認められています。バイトだから有休がない、とかバイトだから労働基準法が適用されない、というのは誤解で、雇い入れの日から6か月を経過したこと、バイト日のうち8割以上出勤したことという2つの条件を満たせば、有休を取ることができます。条件を満たしているのに、有休を取ることができない場合は違法です。事業主は、週の労働日数や勤続年数に応じて有休を与えることが義務化されているので、まずはたらき始める前に有休について知識を持ちましょう。また、自分のはたらいている時間でどれくらいの有休が取れるのかを知りたい人は、「厚労省 バイト 有休 日数」と検索すると、厚生労働省のサイトで有休日数の表が見られるので、確認するのもいいかもしれません。

初芽
有休をもらうときの手続きは、どうすればいいのですか?

藤井さん
有休の2つの条件を満たしている場合、「この日に有休を使いたいです」と、バイト先に伝えれば大丈夫です。休みを取りたい理由を説明する必要はありませんが、まずはバイト先の責任者のかたに伝えてみましょう。

2.飲食店がまかないを出すか出さないかは勝手なの?

堤さん
まかないを出すか出さないかは、お店側の自由です。有料であっても法律上は問題ありません。ただ、求人広告にまかないについての記載があった場合や、面接で条件として提示された場合は、たとえそれが「口約束」でも、必ず守られなければなりません。まかないが出ると聞いていたのであれば、守られるべきです。

3.バイトでボーナスが出るのは特別なこと?

堤さん
ボーナスは、会社が出すか出さないかを自由に決めることができますから、ボーナスが出るのは特別、という訳ではありません。実際には、バイトにボーナスが出されるケースは少ないでしょう。もらえたらラッキー、というところでしょうか。バイトだけではなく、正社員にも当てはまることですが、法律上ボーナスや退職金というのは義務化されているものではありません。

4.1日に取る休憩時間がバラバラ過ぎる!不定期休憩ってあり?

藤井さん
休憩時間については、労働基準法の第34条に明記されています。『労働時間が6時間を超えた場合は少なくとも45分間、8時間を超えた場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければいけない』と決まっています。ここで重要なのは『労働時間の途中で』という点です。たとえば、7時間はたらいて最後の1時間休憩、といったような休憩時間ではダメです。
そして、休憩時間の原則として『従業員が全員で一斉に休まなければならない』とされています。ただ、飲食店や物品販売のお店や労使協定を結んだ場合などは、「一斉に」という原則について、例外が認められています。バイトでは、例外の場所ではたらく人が多いかもしれませんね。

初芽
休憩が5分刻みでもらえるのは、ありですか?

藤井さん
ありか、なしか、と聞かれたら、なし、ですね。
法律上は、休憩時間を分割して与えてはいけない、という規定はありません。
ただ、休憩時間というのは、法的には「会社の指示や命令から解放されている時間」ということです。休憩中だけど『いつでもお店に出られるように近くにいてね』という要望がバイト先からあれば、それは『指揮命令下』にある状態ですので休憩とはいえません。休憩時間というのは、自由に過ごせる時間です。5分だと自由に過ごすのは厳しいでしょう。

5.ショップ店員に自店の服を購入させるのは問題ないの?

藤井さん
これは、問題アリです。バイトでは、バイト代をもらう代わりに、労働力を提供する義務を負います。しかし、自店の服を買わなければならないという義務は発生しません。ですから、もし自店の服の購入を強制されても、がんばって断りましょう。
また、服の代金を自店に支払うことによって、自身の手元に残るバイト代は減るので、事実上、バイト代をお金ではなく、現物で支給していることになる点も問題です。
会社が、どうしても自店の商品を着てはたらいてほしいと考える場合は、制服としてタダで支給するべきです。社割でかなり安く購入できるなどのメリットがあり、納得して、自分の意思で自店の服を購入する場合は問題ないでしょう。

初芽
実際には納得している人が多そうです。私の周りにも、好きなブランドの服が社割で購入できてラッキーという声をよく聞きます。ちなみに、社割で買った服を周りに配るというのはアリですか?

藤井さん
自分の周りの人、例えば家族に配るという程度だったら、問題はないと思います。ただ、社割は、福利厚生の趣旨で行われている場合が多いと思うので、それをネット上で販売して利益を生むのは、社割の趣旨に反するでしょう。新作の新品を定価よりも低額でネット上で販売した場合は、ブランドイメージを下げたり、値崩れを招いたりすることになり、就業規則によっては、懲戒処分の対象となることもあるかもしれません。

6.「昇給あり」と書いてあったのに、さっぱり気配がない。それってどうなの?

藤井さん
昇給の約束の内容が、バイト先との間で、具体的に決まっていたかどうかによります。
例えば、「1年後に時給を100円アップしますよ」といった具体的な条件が提示されていた場合は、その内容の約束が成立していたことになりますので、にこやかに昇給を催促しましょう。
逆に、求人広告や雇用契約書に、単に「昇給あり」としか書かれていない場合、昇給のタイミングや金額は会社に裁量がある事項なので、いつになったら、いくら昇給させなければならないといった法的義務は、原則として生じません。「昇給してあげよう」と思ってもらえるよう、バイトを頑張りましょう。
バイトをするということはバイト先と労働者が労働契約を結ぶということです。そして契約というのは、約束ということなんです。口約束でも、約束は成立しますが、口約束したかどうかモメたときに、その証明をするのは困難です。昇給制度があるのであれば、いつ、いくら昇給するのか、はたらき始めるときに確認の上、労働条件(約束の内容)を書面で交付してもらいましょう。

7.バイトにノルマを与えることは問題ない?

堤さん
ノルマを与えること自体には法律上問題はありません。しかし、それを達成できなかったときに給料を下げる、罰金を取るといったことは問題で、ノルマの達成に関係なく雇用条件に応じてはたらいた時間分の給与は支給されます。逆に、ノルマを達成できた場合の報酬としてインセンティブなどに反映されるのが一般的です。

初芽
バイトスタッフが節分の「恵方巻き」を1人10本売らなければいけないというようなノルマもニュースで見ました。

堤さん
バイトを始める時に、商品を何個売らなければならないといったノルマがあるのかどうか確認しておくことが大事です。

8.「バイトのかけもち不可」ってどうして?

堤さん
本来、民間の企業において、労働者は、いくつ企業をかけもちしても法的に問題はありません。さらには、憲法でも『職業選択の自由』が定められています。ただ、いわゆる正社員の場合は、自社に集中してほしいという理由でかけもちを禁止しているのが一般的です。雇用契約書に記載されていたり、書面等で確認を受けた場合に、かけもちを不可とすること自体は違法ではありません。しかしながらアルバイトの場合には、かけもち禁止が一般的とまではいえないので、バイトの立場でかけもち不可というのは、何かしら理由があるのかもしれません。なぜ、かけもち不可なのか、理由を聞いてみたほうがいいでしょう。

9.インターンシップとバイト、またバイトとパートの違いって何?

藤井さん
インターンシップというのは、法律用語でありませんが、一般的には、企業ではたらくことを体験したり見学したりする制度のことをいいます。社員のかたがインターン生に、業務内容やシゴトの進め方について説明をしたり、サポートをしてくれたりして、就業体験を目的とするのが、インターンシップです。バイトとインターンシップとの違いは、会社と学生が、客観的に見て「使用従属関係」にあるかないか、です。
名称だけ「インターンシップ」となっていても、体験を超えて、会社の戦力として扱われ、休みの希望も聞いてもらえないような場合は、インターンシップではなく、「労働者」という扱いにしなければならず、給料も支払わなければなりません。
なお、純粋に就業体験だけだったのに会社からお金がもらえたというケースもありますが、そのようなケースのお金は、給料(賃金)としてではなく、インターンシップ参加に対するご褒美や交通費としてという趣旨でしょう。
バイト、パートという言葉も法律用語ではありません。会社に雇用された人はみんな等しく労働者で、法律の適用において、バイトとかパートとか名称によって違いが生じるわけではありません。正社員もバイトもパートも、名称に関係なく、労働基準法や最低賃金法などが適用され、労働者としての保護を受けられます。ちなみに、東京都の現在の最低賃金は932円です(2016年10月1日発効)。都内で、試用期間中の時給は850円というお店を見かけることがありますが、最低賃金法違反です。
一方で、バイトも、みんな等しく労働者である以上、「バイトだから」という甘えは許されません。バイト代をいただくのですから、無断で休んだりせず、責任を持って、頑張りましょう。

10.車・バイク通勤の場合、交通費が支給されないことが多いのはどうして?

堤さん
前提として、交通費を支給するかどうかは会社側の自由です。実際には支給してくれるところが多いと思います。交通費支給であるにもかかわらず、車・バイク通勤の場合は支給しないという場合もあるようです。その理由は3つ考えられます。
1つ目は、車・バイク通勤途中の事故、ケガや入院など従業員の安全面を考慮しているという点。2つ目は、燃料代を正しく精算することが難しいという点。3つ目は、違法駐車などによる近隣への配慮という点。この3点が考えられます。

初芽
交通費支給と書かれているのに、車とバイクは払わないっていいんですか?

堤さん
法的には、車・バイク通勤は交通費を支給するも支給しないも決まりはないので、雇用契約書の内容次第だと思います。もし車・バイクで通勤がしたい場合は、最初に確認しておくべきでしょう。

11.源泉徴収、年末調整ってなんですか?

堤さん
源泉徴収も年末調整も、所得税の話になります。すべての労働者は、1月から12月までに稼いだ金額の数パーセントを所得税として国に納めなければなりません。所得税は個人でも納めることができるのですが、会社に勤めている人は 、個人で納める代わりに、会社が毎月の給料から所得税を引いて、所得税を納めてくれます。給料から税金を引く、という仕組みが源泉徴収です。
次に、年末調整です。1月から12月の1年間に源泉徴収として毎月会社が国に納めた税金はおおよその金額で、国に納める正確な金額がわかるのは、年末です。1年間、毎月会社が源泉徴収として納めていたおおよその金額と、実際にその年にはたらいた分から算出される税金に差がある場合があります。つまり、毎月会社から源泉徴収された税金と、12月に明らかになる実際の稼ぎから算出された納税額の差を調整することを、年末調整といいます。
年間に稼いだ金額が103万以内であれば税金を納める義務はありません。稼ぎを年間に103万以内に収めれば、すごくはたらいた月に引かれた所得税が戻ってくることもあります。自分自身で、いくら給料から所得税が引かれているのかを確認するためにも、給料明細は必ずもらっておきましょう。

初芽
何も知らないと損する場合があるのかもしれないですね。関係ないと思っていましたが学生でもバイトの税金について知っておくべきですね。

学生探偵による[調査報告] File.13

学生探偵 / 藤井初芽による報告

バイトに対するさまざまな疑問を、弁護士さんに聞くことができました。まず、バイトでも労働者として法律が適用されることに驚きました。特に印象的だったのは、口約束も法的には守られなければならないということです。そうはいってもバイト先で「あのとき言いましたよね!」って主張するのは難しいと思うので、事前にきちんと契約書や書面を交わしておくのが大事なんだなと思いました。取材中、自分のバイト先はどうだろう?と考えながら法律の話をうかがいました。正しい知識を持ち、労働条件を明示してもらうことは、自分を守ることになると思いました。

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