不動産会社を設立し活躍されているかたに、起業までの道のりやバイト経験から得たことなどをインタビューしました!

地域の魅力も伝える事務所をオープン

「街と人と住まいを」をテーマに、不動産の売買仲介で2016年に独立開業しました。事務所のドアをいつも開け放ち、誰でも気軽に出入りできるようにしています。以前はゆったりとしたカフェだった店舗を改装して、家族で遊びに来られるようにプレイスペースもつくりました。

壁にくくりつけの棚には、ご近所の個人商店のパンフレットや近所のかたがつくったアクセサリーなどを置いて、地元の魅力を紹介するコーナーを設けています。そして商店街で見つけた、こだわりのコーヒーを用意しています。というのも、この事務所を拠点にして、人と人がつながり、街や社会とつながるお手伝いができたらと思っているからです。

人と街とのつながりを意識しはじめたルーツをたどると、実家の敷地内に叔父が経営していたスーパーマーケットに行きつきます。いつも多くのお客さまが出入りしていて、会話をしたり声かけてもらったりしていました。幼少期から地元の人との密な関係が当たり前だったんです。

スーパーのお手伝いで野菜を店頭に並べ、値札をつけたものが売れる瞬間を見るのも楽しかった。だからはたらける年齢になったとき、欲しい物があったわけではなかったのに「アルバイトをしてみたい!」という好奇心だけは強く、ファストフードや惣菜販売、ラーメン屋などでバイトをしました。すべて飲食店なのは、初心者歓迎で募集が多く、学生でも応募しやすかったからです。バイトでも自分が調理したものが“売れる”のはすごくうれしかったですね。

敬語や距離感より大事な「積極性」

初めてバイトをしたのは高校生のとき。学校では先生や先輩、同級生と決まった人とのつき合いだったのが、バイトでは店長や同僚、そしてお客さまと、年齢も立場も全然違う人と接します。最初はどう対応すればいいのか距離感をつかむのに苦労しました。年上だからといって、敬語ばかりで恐縮しているとシゴトになりませんし、だからといって同級生のように接するわけにもいきません。敬語を意識しすぎて会話もままならず、堅苦しかったですね。

今振り返ると、そんなにかしこまって敬語を使わなくてもよかったかなと思っています。それよりも、ていねいな言葉遣いで、自分から店長や先輩たちへ積極的に話しかけ、シゴトを教えてもらえばよかった。苦労はしましたが、バイト経験が長くなるにつれ、立場に合わせたコミュニケーションを覚え、上手に距離感を取れるようになりました。

失敗から学んだこともあります。すごく忙しかった日、肉が入っていないハンバーガーを提供してしまったことがあるんです。店内で召し上がるお客さまだったため、その場ですぐ発覚しましたが、もし持ち帰りや遠方のお客さまでしたら、さらに迷惑をかける事態になっていました。「たとえバイト」でも、任されたポジションに責任を持たないと、お客さまにもお店にも迷惑をかけてしまうと知ったできごとでした。

お客さまの人生設計を左右する責任あるシゴト

なぜ不動産業で独立したかというと、お客さまの人生に関わる深い話を聞ける職業だからです。住まいはとても大きな買い物。多くの時間を過ごす場所でもあるので、家族や子どものこと、シゴトやお金のこと、生活そのものをお客さまと一緒に考える必要があります。そのあとの人生に与える影響や意義が大きく、その選択肢に関わるわけですから責任のあるシゴトです。

お客さまにとって何がベストなのかを一緒に考えたり悩んだりしながら、生活スタイルに合った物件が見つかり住み替えが決まったときは、本当にうれしくやりがいを感じます。不動産売買は、シゴトの達成感に対する報酬がしっかり合致しているのも魅力です。

独立してからは、ノルマがあるわけでも、上司がいるわけでもありません。お客さまとはお互いに納得がいくまでコミュニケーションを取りながら信頼関係を築き、メリットもデメリットも話すようにしています。街の魅力をたくさん伝えて、住まいをより楽しく考えてもらえるように意識しています。

気軽に立ち寄れる不動産を目指して

不動産会社というと身構えてしまうかもしれませんが、もっと気軽に利用してもらうにはどうしたらいいか考えています。すぐに購入しなくても、住みたい街のことを聞いてみたいと考えている人や、「自宅でお菓子教室をやりたい」「塾を新規開業したい」などの起業についての相談をしたいかたも多いはず。

職種柄、さまざまな職業とつながっています。住宅ローンの絡みで銀行、火災保険のために保険会社やファイナンシャルプランナー、相続対策で税理士、登記の関係で司法書士、個人商店の店長や学校の先生まで、さまざまなおつき合いがありますから、事務所の間口を広くし、気軽に質問できる環境にすることで、ご縁をつなぐお手伝いもしていきたいです。

“きっかけ”になればと、商店街のお店とのコラボイベントや、地元に根づいたワークショップや座談会なども行っています。たとえば、定期的に「おそうじさんぽ」を開催し、街をきれいにしながら、商店街にある隠れたお店を紹介し合っています。そういうところから、街の良さを知ったり、楽しさを伝えられればと考えているんです。