AI研究開発会社を創業し活躍されているかたに、起業までの道のりやバイト経験から得たことなどをインタビューしました!

チラシ配りで知ったマーケティングのおもしろさ

初めてのバイトは大学1年生のとき。居酒屋で半年間ほどはたらきました。きっかけは、「いろいろ経験してみたい」という思いから。性格上、接客には苦手意識を持っていたのですが、選んだのはなぜか居酒屋でしたね(笑)ただ振り返ってみると、お客さまとの話しかたや社会人としてのマナーを体得したのは、この半年間だったかもしれません。

それより、お店のチラシ配りが楽しかったんです。どこでどんなチラシを誰に渡せば集客につながるのか、考えながら配っていました。それでお客さまが増え、成果が目に見えてわかることが楽しかった。今思うと、それはマーケティングの考えかたですよね。マーケティングのおもしろさ、自分で考えて実現したときの楽しさを知ったのがバイトでした。

そのあと、家庭教師派遣ビジネスを立ち上げましたが、これがうまくいかなかったんです。家庭教師の組織づくりも中途半端、集客や営業も全然できなくて。大学卒業後は起業したいと思っていたのに「自分にはビジネススキルが足りない」ということを知ることになってしまった。それならば、いったん就職して足りないものを身につけようと思いました。だから、最初に就職した会社では営業職を希望。それから3社を渡り歩き、7年間で営業、マーケティング、経営戦略、会計とファイナンス、事業開発などビジネスの一通りを習得、夢だったAIを使ったサービスの起業を目指しました。

人工知能アプリを使った“新しい社会”を発明したい

大学ではAI研究にのめり込んでいたので、将来は大学院に進もうと考えていました。でも研究を続けるうちに、「“新しい技術の発明”ではなくて、“新しい社会の発明”をしたい」と気がついたんです。高校生のときから科学者か研究者になりたいという夢があって、当時から共通しているのは「世の中にないものをつくりたい!」という感覚。社名「カラフル・ボード」の由来にもなっていますが、世の中にいろいろなコンテンツが流通する、彩り豊か(カラフル)な社会を実現したいんです。ボードとは、「テーブルを囲んで会議する」という意味。みんなが集まって話し合って、参加することを目指しました。

具体的には、人の感性を学習する人工知能アプリ「SENSY(センシー)」を軸にしたサービスです。個人のセンスや感情、行動につながるロジックを解析する技術を中心にサービスを開発しています。たとえば、服のスタイリングを提案するアプリは、世の中にある洋服からその人にぴったりの服や情報を探して教えてくれます。それに対して「好き」か「嫌い」かの反応を返すと、そのデータが企業側にフィードバックされマーケティングに活かされる。自分が欲しいと思っている服が市場に反映されるようにもなってくるでしょう。

起業して6年が経ちましたが、思い通りに進まないこともたくさんあります。もし今バイトをするなら、ITベンチャー企業のインターンなどではたらく手もあったなと思います。IT系のサービスや事業、開発に触れてみたかったですね。『カラフル・ボード』でもインターンを受け入れていて、その学生の様子を見ていると余計にそう感じます。そういう意味でも、大学生で経験したバイトやビジネスは、自分に足りないものを教えてくれましたから、失敗も含めて大きな糧になっています。若いうちにいろいろ経験しておいて良かったなと思います。

世の中にないものを生み出す難しさと楽しさ

新しいものやサービスを発明する過程は、やりがいもあり難しいところでもあります。“ゼロからイチ”をつくるには、あらゆることを想定しないといけないし、時間もかかり、リスクもあります。立ち上げかたも複雑で難しいのですが、だからこそやりがいがあると感じています。

成し遂げるためには、いろいろな人を巻き込んでいくことが非常に重要です。僕たちの会社だけでやろうというのではなく、「こんな世の中にしたい!」という思いを多くの人と共有して、一緒に実現しようと思ってくれるパートナーをたくさん見つけること。それは企業かもしれないし、個人の技術者かもしれないし、投資家かもしれません。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが、同じビジョンのもとに集まってくる。それをうまく組み合わせて、ビジネスになる仕組みにすれば、ゼロからでも大きなものをつくり出せるはずです。

それには明確なビジョンを掲げることが大事だと思います。上場するとか、お金を儲けるとか、そういう話に人は集まってきません。より便利な世の中になったり、楽しみが増えたりするような社会、そういう“公の利益”に人は共感します。みんなでこういう世界を実現したい、こんな生活になったら楽しいよね、といったビジョンを掲げ、人を巻き込みながら世の中にないものをつくり上げていく、その過程がやりがいそのものです。

AI技術で人生を変える出会いが生まれる

いつか『ドラえもん』みたいなAIロボットを、ひとり一台所有している世界をつくりたいですね。それには、まだまだやらなければいけないことがいっぱいありますし、開発も必要です。今は主にファッションやグルメ、コスメ関連を中心に開発を進めていますが、今後は旅行や映画などいろいろなシーンで人の生活をサポートできるように、ライフスタイル全般に広げたいと思っています。そして、国内サービスだけではなく、海外でも使えるサービスにしていきたいですね。

近い将来、もっと人工知能が広まると、誰もがさまざまなコンテンツに触れられるようになっているはずです。それによって、これまで気づかなかった「出会い」も生まれるでしょう。お気に入りの洋服に出会って、元気がでたり勇気づけられたり、これまで知らなかった場所をすすめられて行ってみたら、素晴らしい発見や新しい人との出会いがあったり。そんな「出会い」によって、人生はどんどん豊かに変わっていくはずです。

僕らの会社のコンセプトは「すべての人々に、人生が変わる出会いを」。偶然の出会いから、人生をより良くする“必然的な出会い”を提供していきたいと考えています。