イラストレーターとして独立したかたに、独立までの道のりやバイト経験から得たことなどをインタビューしました!

あきらめきれなかった絵を描くシゴト

イラストレーターになって8年目になります。絵を描くのが大好きな子どもでした。イラストレーターという絵を描くシゴトがあって、それを目指してもいいんだと思ったのは高校生のときです。とてもオシャレなクラスメイトがいて、他人の目線を気にせずに奇抜な色味の服装でも堂々と着こなしている。それを見て「型に縛られず自由でいい!他人と違ってもいいんだ!」と気づかされました。

でも、イラストレーターになりたい気持ちはあったものの、どうしたらなれるのかわからないし親にも反対される。そこで、興味があった“保育”を学ぶため短大へ進学しました。卒業後、同級生はすぐに幼稚園や保育園に就職しましたが、私は夢があきらめきれない。塾講師のバイトをしながら空いた時間にイラストを描き、展示会に出展するような期間を3年過ごしました。結局、父の紹介もあり、23歳のときに幼稚園ではたらき始めました。

幼稚園教諭になって子どもを見る機会が増えると、プライベートで描く子どもの絵のポーズをこうしてみよう、こんな表情にしてみようと、絵を描くのがますます楽しくなりました。もともと描いていたタッチも、赤ちゃんや動物などかわいらしいもの。さらに、先生が読む保育雑誌でイラストや工作を紹介している “かわいいイラストをシゴトにしている人”を目のあたりにして「やっぱりイラストレーターになりたい!」という思いが日増しに強くなりました。そこで、貯金が100万円できたら先生を辞めて、真剣にイラストレーターを目指すぞと決め、25歳のときに上京しました。

バイト時代に学んだシゴトに対する姿勢

初めてのバイトは短大の進学が決まった高校3年生の冬。幼馴染の実家が経営していたうどん屋を手伝うという名目で始めました。友人の両親とは顔なじみでしたが、最初はすごく緊張したのを覚えています。しかし、バイトに対してどこか甘えた気持ちがあったのだろうと思います。見透かされたように「バイトでも責任感をもってやらないといけないよ」と諭されて、ハッと気がつきました。お客さまに接して、お金もいただくのだからお手伝い感覚じゃダメなんだって。それからは、メニューや値段を早く覚えようと力が入りましたね。

短大生のときは、スイーツとコーヒー好きが高じて、喫茶店とクレープ屋ではたらきました。喫茶店は高級コーヒー豆『ブルーマウンテン』が置いてあるような、ちょっと敷居が高いお店だったこともあり、ドリンクの出しかたや、ていねいな言葉遣い、電話対応などの礼儀作法に心配りました。シフト制だったため、授業が忙しいときにはシフトを減らしたり、夏休みは多めに入ったり調整しながら、2年間続けました。

短期間ですが、平行してクレープ屋でもバイトをしました。生地を薄く伸ばすにはコツがいるんですが、最初は失敗ばかり。何度も練習して、自分がつくったクレープが商品として提供できたときはうれしかったですね。とてもおいしいクレープで、余りものを持ち帰っていたら、見事に家族全員が太っちゃいました(笑)

どんな経験も必要だったと思える日が必ず来る

振り返ってみると、バイトで学んだことがたくさんあります。フリーランスとしてはたらくイラストレーターは、会社に出勤するわけでもなく、直接面と向かって人と会うことも少なく、メールのやりとりがほとんどです。対人関係が自己流になりがちだからこそ、バイトの経験が活きています。

うどん屋でシゴトに対する責任感を意識したこと、喫茶店でお客さまに気持ちよくコーヒーを飲んでもらうための、振る舞いや言葉遣いを学んだこと。それから、クレーム対応の経験も“武器”になっています。はたらいていると、どうしても避けられないのがクレームです。こちらが悪くなかったとしても、シゴトとして上手に切り抜ける応対をするのもひとつの知恵。相手の言いぶんをきちんと聞いて、怒り返すのではなく、こちらの意図をやんわり伝えることで、大きな失敗を回避できることは多いです。

バイトで何を学ぶかは結果論ですが、経験したことはひとつもムダにはならないんですよね。バイトには楽しい面もあるし、大変なこともあります。将来のためにどんなバイトをしようかなんて悩まなくても、結局何をやっても必ず役に立つと思うんです。

やりがいは作品が人の役に立つこと

『Twitter』や『Instagram』などのSNSで、直接ユーザーから「工作用型紙を使いました!」「幼稚園の壁に飾りました!」とコメントをもらえるのは、クレープ販売のバイトで、自分のつくったクレープが売れたときの喜びに似ています。やっぱりユーザーの声が届くのはうれしいものですね。

今は出版社や雑貨メーカーから依頼をもらい、グッズをつくったり描いたりするのがメインのシゴトです。近年は手づくり作品の通販・販売サイトが充実してきていますから、そういったサイトを利用して、直接ユーザーとやりとりするシゴトも増やしたいと思っています。最近では、幼稚園で使用する“手書きボード”などの雑貨を自身のサイトで販売するようになりました。ユーザーに直接依頼されて描いたりつくったりするほうが、きっとやりがいも倍増だし、楽しいはず。「役立っています」「いつも使っています」というコメントをいただくたびに、イラストレーターになってよかったと幸せに思います。