学生時代に経験した2度の起業実績を活かし、ゲーム開発会社を立ち上げたかたに、やりがいやこれまでの道のりなどをインタビューしました。

とにかくゲーム好き!小学生で自作ゲームを発表

「自分だったら、こんなゲームにするのにな!」という気持ちが、最初の動機ですね。小学生のころから、ゲームが大好きで、友人の家に集まっては「スーパーファミコン」のゲームに没頭していました。でも、ゲームがうまいとか、このジャンルなら人に負けない、というわけではなかった。だからいつも「自分だったらここをこう変える」「この部分、こうしたほうがもっと楽しいはず」と考えていました。だったら自分で理想のゲームをつくればいいんだと、小学校5年生のときからプログラムを組み始め、自作のゲームを発表するようになりました。

中学生になってからは父に協力してもらい、つくったゲームをネット上で販売するように。それが1997年ごろ。インターネットが広まり始めた時期でした。中学校に入ると自分のパソコンを買ってもらい、いろいろなサイトを見て回って、自分で路上ミュージシャンの情報を紹介するWEBサービスをつくるようになりました。それが注目され、新聞の連載を担当することになり、おもしろいWEBページに関する記事を書いたり、テレビに出演したりするようにもなったんです。

そうやって自分が紹介したおもしろいサイトや記事が注目されるのがすごく楽しかった。なにより自分が好きなゲームをつくったり、WEBサイトを紹介したりすることでお金をもらえ、親に買ってもらったパソコン代を少しずつ返していくことで「自分の得意なこと、好きなことで稼いで、自立できている!」と実感できるのが、やりがいに繋がっていましたね。そういう経験を通して、いつかはゲーム業界で自分で会社を起こして活躍したいと思うようになっていきました。

チームではたらく中で知った、組織運営スキルの大切さ

高校3年生のときには、高校を卒業してすぐに起業するか、それとも大学で知識や技術を勉強してから起業するかで迷いました。結局、これまで自己流でしかプログラムを手がけていなかったこともあり、大学で基礎から技術を学ぶことを選択しました。今考えると、正解だったと思います。本格的に基礎からプログラミングを学ぶことができたのはもちろん、そこでたくさんの人に出会って、さまざまな経験を積むこともできたからです。大学の先輩が勤めていたシステム会社でバイトをさせてもらうなど、ゲームだけではなく、より広い分野のプログラミングにかかわることができました。

卒業後はすぐに起業せず、銀行向けのシステムをつくっている会社に就職しました。システムエンジニアとしてバイトをするうちに、大きなシステムの構築に関わることに楽しさを感じるようになっていたんです。大きなシステムをつくり、動かす。それでたくさんの人に使ってもらい、便利さを感じてもらうということが楽しいと思いました。

就職してからは、チームではたらくことで「ひとりでできることは限られている。より大きなことをしようと思ったら、チームをまとめ、動かすことができないといけない」と実感するように。起業という夢を実現するのにも必要な、いわば「マネジメント力」や「経営力」といった能力ですね。そこで、本格的にそのスキルを鍛えようと、会社ではたらきながら貯めていたお金で、大学院に進学することを決断。経営学を学び、MBAを取得しました。

周りの意見を受け入れたら、グンっと視野が広がった

大学院卒業後、ゲーム制作会社に就職。小さな会社でしたが成長中でもあり、どんどん人が増え、営業やプロジェクトのリーダーなど、さまざまなシゴトを権限とともに任されるようになっていきました。大学院で学んだ経営の知識をベースに、組織を動かすという経験を積みながら、実践で実力を身につけていった感じですね。

人が増えると、いろんな意見が出てきます。自分とは違った考えも、もちろんあります。そこで「自分が楽しい」ばかりを追い求めていては通用しないことを痛感。「自分が楽しい」を「みんなにとっても楽しい」にできなければ、ゲームを開発しても売れることはなく、ビジネスとして成り立たないのです。

そう感じてからは、いろいろな人の意見を引き出し、受け入れるよう心がけました。すると、それまで思いつかなかったアイデア、無かった視点に気づけるようになったのです。より深く考え、広い視野でゲームの企画を練られるようになりました。企画を考えるのがますます楽しくなりましたね。そして、自分が考えた企画を「自分が楽しい」から「みんなにとっても楽しい」に変換できるのか、挑戦したいと思うように。それが『グラティーク』を設立するきっかけになりました。『グラティーク』のビジョン「アプリでリアルな喜びを届ける」にはそんな思いが込められています。

たくさんの人に楽しんでもらえるゲームをつくりたい

小学生時代から経験してきたことが、今に活かせていると感じています。プログラミング、プロジェクトチームの統括、営業、そして人の意見を受け入れ、形にすること。すべてが会社の経営に必要です。そうして開発したゲームが世の中にリリースされると、会社員として開発に携わってきたとき以上の、大きなやりがいと喜びを感じることができます。

現在は、ネームバリューのある企業にゲームの企画を持ち込み、その会社独自のコンテンツと連携したスマホゲームアプリを開発しています。いつかは自社オリジナルゲームをリリースしたいですね。大きな目標のひとつです。そのときには、「『グラティーク』らしいゲームだね」「『グラティーク』だからおもしろいね」と多くの人に楽しんでもらえるよう、経験を積み、成長していきたいと思っています。