帽子デザイナーとして起業して活躍されているかたに、起業のきっかけや、やりがいなどをインタビューしました。

原点は「帽子が好き」

子どものころから帽子が大好きで、どこへ行くにも帽子をかぶっていました。野球帽に始まり、いろいろ帽子を集めましたね。将来は帽子をかぶってはたらきたい、と思うようになり、服飾専門学校に。卒業後、帽子メーカーに就職して、ゼロから帽子のデザインを学びながら6年間はたらきました。そのうちに、やっぱり服がつくりたくなって……(笑)フリーのデザイナーとして3年間、スポーツウェアなどの服のデザインを手がけていました。その間も常に帽子は集めていましたね。でもなかなか、これ!という帽子が見つからず、自分だったらこうするのに、とすぐ考えてしまう。だったらつくるしかないと思い、起業を決意しました。

努力しただけ返ってくる。それが起業の魅力

起業するにあたって、まず500万円貯めることを目標にしました。アパレル業界で起業するには初期費用として1000万円必要だといわれますが、帽子は素材やパーツが少なく、材料費を抑えられるだろうと思ったんです。最初にやったのは、製造を請けおってくれる工場(職人)を探すこと。どんな帽子をどのシーズンで何個つくりたいかといったプランを、何度も足しげく通って説得しました。大手に比べて生産量が少ない上にこだわりがあるから手間がかかる。プランに共感してくれる工場を探すのは大変でしたが、見つかったときは本当に嬉しかったですね。次に帽子を売るための販路の確保。以前勤めていた帽子メーカーの取引先には営業できないため、新規で探して飛び込み営業をしたり、帽子の展示会に頻繁に出展したりと、ひとりでも多くの人と話して売り込む努力をしました。そうして少しずつ工場、売場、ファンが増え、起業して3年目には黒字に。起業して良かったことは、頑張ったぶん結果に表れて、モチベーションに繋がること。「毎シーズン、同じシリーズを全種類買ってるよ」なんてお客さまから言われると、やりがいを感じます。

世界中で愛される『MAISON Birth』に

起業してから3年目に事務所を構え、新作の展示会もそこで行うようになりました。1対1でじっくりこだわりを話せるため、魅力がより伝わり、商談の成功率もアップ。3件からスタートした製造を依頼する工場も、6年目には15件に。デザインや素材で依頼先を変え、ラインナップを増やしています。ただ、100%やりたいデザインだけをしているかというと、そうではありません。毎シーズンテーマがあるので、バランスを考えてデザインをしています。会社を続けるには、このバランスも大切。今もよく街に出て市場調査を行っているんですが、流行るデザイン、求められているデザインの空気感がつかめる。それを自分のデザインに落として製品にしていきます。将来の夢は海外にも展開すること。日本の帽子づくりの技術やデザインは、決して海外に負けていない。でもまだまだ海外で認知されていないのが現状です。「日本の帽子はいいね」と言ってもらえるよう、自分が手掛けた帽子を世界に広げていきたいですね。