天職、見つけた!
好きなことを全力で続けていけば
自分のするべきことは自然と見つかる
#07 [前編]写真家
八二 一さん

プロフィール

八二 一(はに・はじめ)
  /藤原 なつみ(ふじわら・なつみ)

芸術系短大を卒業後、アルバイトを経て写真家として独立。ご主人、来秀則さんと共にユニットを組み、写真家・八二一として活躍。テレビ、雑誌など幅広い舞台で、カメラマン、写真講師など多才ぶりを発揮している。ブログ「はっちゃん日記」が大ヒットとなり、写真集を続々発売中。

「はっちゃん日記」
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略歴

1991年

芸術系短大卒業後、コマーシャルフォトスタジオに勤務。

1995年

ブレーンセンターギャラリー(大阪)にて「君のニャは、」展開催。
ユニット名「八二一」を初めて名乗る。

2000年
転機

フリーカメラマンとして独立。

2003年
転機

はっちゃんの里親になる。
ブログ「はっちゃん日記」スタート。

2005年~

ブログが大ヒットし、テレビ、雑誌などのメディアで注目を浴びる。


最近のニュース

『hatch!!!!! はっちゃん日記5』

最新刊、『hatch!!!!! はっちゃん日記5』が11月25日に発売。
八二 一(青心社)
1,050円(税込)


あの頃は…

『はっちゃん』

まだ幼さが残るはっちゃん。
初めて出会ったのは、2002年6月。寝転がったり、伸びをしたりと、初対面でいろんなポーズをとってくれたことが印象的でした。



TEXT:東出 幸子 PHOTO:森 浩司

猫のはっちゃんの日常を綴ったブログ
「はっちゃん日記」が大人気の男女2人組写真家、八二一(はにはじめ)さん。
今回はそのうちのおひとり・藤原なつみさんに、
「好きなことを追い求め続けてきただけ」という成功までの道のりを聞いた。

八二 一/藤原 なつみ

写真を通じてパートナーと出会い、
猫の写真展で「八二一」が誕生!

 もともとはカメラとは全然縁がなかったんです。芸術系の短大で受けた授業がハマったきっかけでした。それから一気にカメラマンになりたいと思うようになったんです。短大卒業後、コマーシャルスタジオに就職して、写真撮影のアシスタントなどを2年ほどしていました。その後は、ときどきカメラマンの仕事もしながら、いろいろなアルバイトに就いていたんです。写真ギャラリーやポケットアルバムのデザイン、販促用のチラシ作成など、なにかしら写真にまつわるバイトをしていましたね。
 主人の来秀則と出会ったのもこの頃です。写真の歴史について学ぶ講座があって、2人ともそこの受講生だったんです。一緒によく路上の面白い風景や野良猫の写真を撮っていました。猫を被写体にしたのは、街の風景に猫がいるとそれだけで絵になるからなんです。
 たくさん写真を撮りためるうちに、2人でギャラリーを借りて猫だけの写真展を開きたいねという話になりました。1995年10月に大阪で猫の写真展「君のニャは、」展を開催。この時、初めて「八二一(はにはじめ)」というユニット名を名乗りました。それ以来、八二一の名前で毎年1回は猫の写真展を開催しています。
 名前の由来は、藤子不二雄さんみたいに2人で1つの名前で親しみを持ってもらえるといいよねって、『学園ハニワもの ハニーに首ったけ』(注)という漫画とハナ肇さんからとりました(笑)。ユニットでの仕事は、どちらかが撮影して、もう一人がアシスタントという形。お互いのカメラを使って2人で撮影することもあるので、ときどきどっちが撮った写真かわからなくなっちゃうんです。いい写真が撮れると「これは自分が撮った写真だ」なんて言い合っています(笑)。


八二 一/藤原 なつみ

フリーカメラマンになったものの
仕事がなく貧乏な日々

 写真展をきっかけに歌人の枡野浩一さんの「漫画嫌い」という単行本で写真を使っていただけるようになりました。枡野さんとはそれ以来、10年近くお付き合いさせていただいています。それから「猫びより」という雑誌で野良猫を撮る連載のお仕事も始まりました。猫や路上写真を撮っていきたいと思い始めていたのですが、やりたいこととその頃やっていた仕事との両立が、時間的にもだんだん難しくなってきたんです。好きな仕事だけをやっていくには、厳しくても独立するしかない。仕事のあてはなかったんですが、思い切って、2人とも独立してフリーカメラマンになりました。
 案の定、仕事がなかった(笑)。半年間ぐらいは本当に貧乏でしたよ。でも、不思議と、この道でやっていけるっていう、根拠のない自信だけはありました。それはなんだったのかと考えると、結局、好きなことだからだったんだと思います。まだまだみんなに見て欲しいネタはたくさんある。それを全部発表しきるまでは、やめられないっていう気持ちが強かったんです。
 仕事はなかったけれど、時間はたっぷりあったので、とにかく写真は撮り続けていました。その頃に写真を撮りためておいたから、いま、こうして発表することができるんだと思います。写真展もお金がかかったけれど、年1回は開催するようにしていました。当時はいまと違ってネットはそんなに普及していなかったし、ブログもなかった。作品を発表しようと思うとギャラリーを借りるくらいしか方法がなくて。そんな頃に、はっちゃんと出会ったんです。


八二 一/藤原 なつみ

公園での運命的な出会い
「はっちゃん日記」スタート!

 雑誌の仕事で、野良猫を撮影しにいろいろな街の公園へ行っていました。たまたま神戸の公園へ撮影に行った時に出会ったのが、はっちゃんでした。野良猫は警戒心が強いので逃げられてしまうことが多いんですが、はっちゃんは最初から物怖じしないでいろんなポーズを撮影させてくれました。はっちゃんを気に入ったのでよくその公園へ通っていたら、公園で猫の世話をしている方に「はっちゃんの里親になったら?」と勧められたんです。
 産まれたばかりの猫しか飼えないと思っていたので、その頃すでに1歳をすぎていたはっちゃんを飼えるなんて思ってもみませんでした。当時はペット禁止の部屋に住んでいたんですが、迷わず飼うことにして、すぐに引っ越しましたよ(笑)。「はっちゃん」は愛称で、本名は八二はっち。偶然なんですがユニット名の八二一とは「八」つながりで、そんなところからも運命を感じちゃいますよね。「お前は仕事を持ってきてくれる救世主だよね」なんて冗談で言ってたんですが、相変わらず貧乏でした(笑)。
 はっちゃんの物怖じしないようすは公園にいた時と変わらなくて、うちに来て4日目には、大股開きで寝転がっていました(笑)。はっちゃんの面白さをみんなに伝えたくて、2003年4月から「はっちゃん日記」として毎日掲示板に写真を載せ始めました。いつか本になったらいいな、とは思っていましたが、それよりもみんなに見て楽しんでもらいたいっていう気持ちのほうが強かったですね。そうしたら思いのほか面白がってくれる人がたくさんいたんです。アクセス数が伸びたなぁって思っていた頃に、突然、「写真集を出しませんか?」というオファーをいただきました。(後編につづく)

(注)『学園ハニワもの ハニーに首ったけ』
みうらじゅん(河出書房新社)
ハニワを主人公にした漫画。第2次ハニワブームを日本で巻き起こした。

後編はこちら


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