天職、見つけた!
「ここが自分の居場所!」と思える場所は必ずある。
バイト経験はその「何か」や「場所」を見つける時期。
#01 [前編]番組プロデューサー
浅井千瑞さん

プロフィール

浅井 千瑞(あさい・ちず)

1976年 東京生まれ 短大卒業後、テレビ朝日の1年間のアルバイトを経て、(株)メディアミックス・ジャパン(MMJ)に入社。
ドキュメンタリーやドラマのアシスタントプロデューサー(AP)、アシタントディレクター(AD)を経て、2004年、EXの深夜ドラマ「未来先生」でプロデューサーデビュー。
初のゴールデンタイムでのプロデュースを担当したNTV水曜ドラマ「あいのうた」の制作会社プロデューサーとして、2006年1月、日本映像事業協同組合(J-VIG)「ヤング映像クリエイターを励ます賞」にて「優秀賞」を受賞。その後、NTV「14才の母」、EX「てるてるあした」NTV「バンビーノ!」とプロデュースを担当。


略歴

1976年

東京に生まれる。

1994年

相模女子大学短期大学入学
入学後は様々なアルバイトを経験。

1996年
転機

短大卒業後、在学中にアルバイトをしていた歯科医院の紹介で面接を受けた、テレビ朝日のアルバイトとして働くことに。

1997年

(株)メディアミックスジャパン(MMJ)に入社。初仕事はテレビ朝日の月曜ドラマ・イン「ふたり」のAPの補佐として途中より担当。その後、TBSの情報バラエティ・ドキュメント 「神様レイ君をありがとう・歌手 水越けいこ ダウン症児と乗り越えた愛と涙の感動記録」に、ADデビュー。

1998年

テレビ朝日のドラマ「おそるべしっっ!!! 音無可憐さん」で初めて1クールの頭からAPとして担当。

2000年
転機

24歳。余りの忙しさで全てを投げ出したくなり、関西テレビのドラマ「花村大介」を担当後、ニューヨークに一人旅。この旅の間に、自分の好きなことや仕事について考え、プロデューサーを目指すことを決意。

2002年

関西テレビのドラマ「アルジャーノンに花束を」でAP。

2004年

27歳でテレビ朝日の深夜帯ドラマ、[未来先生」で念願のプロデユーサーデビュー。

2005年

日本テレビの水曜ドラマ「あいのうた」にて、制作会社プロデューサーとして参加。

2006年

「あいのうた」で、日本映像事業協同組合(J-VIG)「ヤング映像クリエイターを励ます賞」にて「優秀賞」を受賞。
 テレビ朝日「てるてるあした」プロデュース、
 日本テレビ「14才の母」のプロデュース。

2007年

「バンビ~ノ!」をプロデュース。秋の連続ドラマのプロデュースも決定。


あの頃は…

業界入りのきっかけをくれた歯科医でのバイト時代。18歳~20歳でした。


MMJに入社後、まだまだ何がなんだかわからない状況で「可愛いだけじゃダメかしら?!」のAPを担当していた頃。


影響を受けた言葉

人は何を選んでも後悔する。

だったらやらない後悔より、

やった後悔の方がいい。

 テレビ朝日のアルバイトの契約切れを前に、局の方に現在の制作会社への就職を紹介していただいたのですが、やりたいのに制作会社のあまりの忙しさを知っていたためとても悩んで……。
その時、局の女性社員の先輩が言ってくれたのがこの言葉です。これがだめ押しとなり、現在の会社への入社を決めました。




TEXT:田中 亜紀子 PHOTO:森 浩司

「バンビーノ!」「14才の母」など、話題のテレビドラマのプロデューサーとして活躍する浅井千瑞さん。
31歳という若さで、ドラマ界の第一線で働く彼女がいかにして歩んできたか?
そしてアルバイトの経験が彼女の仕事にどのような影響を与えたのか? をお聞きしました。

浅井 千瑞

学歴なし、コネなし、就職活動も嫌!
そんな彼女の業界入りのきっかけは?

 ドラマのプロデューサーとは、脚本家や役者さんを決め、スタッフを収集し、ドラマ作りが円滑に行くように全体を調整するのが仕事です。細かい気配りをはじめ、いろいろなことに心を砕く責任の重い仕事ですが、私がやっていけるのは、何よりテレビが大好きだからです。もともと私は、ものすごいテレビっ子だったんです。毎日朝から晩までテレビを見ても苦にならないぐらい。
 だから漠然と、短大進学時は将来はテレビか舞台関係に行きたいと思っていました。でも短大だから局は無理かなぁとか、他にも向いてることがあるかも……と、とにかく短大時代はいろんなバイトをしようと思ったんです。いろんな経験をすることで、きっと「何か」に出会えるだろうと。カラオケの従業員、ビラ配り、飲食店、歯科助手などそれはたくさんのバイトをしました。
 実は私、就職活動はしなかったんです。皆で同じようなスーツを着て、面接ではマニュアルで仕入れた同じ答え方をして、それで受かることがなんかピンとこなくて…。またリクルートスーツを着るのが嫌でね。当時、ちょっとひねくれてたんですよ(笑)。テレビ局をはじめマスコミってすごい学歴社会だし、私はコネもないし、ほかにどういうルートがあるかもわからない。それでもやっぱりテレビ関係の仕事をしたくて、まず周囲に言うことから始めようと、就職シーズンも終わる頃、いろいろな人にそのことを言うようにしてみました。
 バイト先の歯医者さんに「卒業したらどうするの?」と聞かれた時にも自分の希望を伝えたら、たまたま院長さんが、プロレスラーの長州力さんと仲良しで…。何と彼の試合の実況を担当していたテレビ朝日のアナウンサーを紹介すると言われ、ダメモトで履歴書を渡したら本当に紹介してくださったんです。嘘みたいな話ですが本当です。言ってみるものですね(笑)。


浅井 千瑞

お茶くみと膨大なコピーとり。
そんな日々から彼女がつかんだ物は?

 まず紹介されたテレビ朝日のアルバイトの面接で、何をやりたいか希望を聞かれ、私は「現場に出たい」と言ったんです。するとバイトでは無理、と言われ、結局、短大卒業後の4月、編成部のお茶くみのようなバイトとして働き始めました。ただし規則で1年契約。同じ4月に入社した社員は研修があったのですが、私は当然そういうことはなし。いわゆる社会人としての基本的な常識やマナーが何もわからないのがコンプレックスでしたね。部長と課長、どっちが偉いのかもわからないし、応接での座り順もちんぷんかんぷん。 そんな状態だったので、とにかく自分のやれることは何でもやろう。仕事が遅い分、朝は一番に来よう、お茶をうまく入れたい、など小さなことから必死でした。配属された編成局とは、局内のいろんな部署の人や、売り込みにきた外部の人など訪れる人が多く、お茶汲みだけでも忙しくて……。しかも山のように企画書が来る部署だったんです。その企画書を大量にコピーする仕事も多く、コピー室にこもって機械が動いている間、暇潰しにずっと企画書を読んでました。その時は単純に「へぇ~、こんなにいろんな企画があるんだ~」と興味本意でしたが、今考えると、ものすごく贅沢なことだし、勉強になったと思います。書き方や企画の種類、そしていろんな人の思いをこめた企画書がこれだけ大量に集まり、番組は作られている、という厳しい現実がわかったことは本当によかったです。
 また編成にいると、番組や枠の話も耳に入り、テレビ局がどう動いているのかがおのずとわかります。わからないことも、後で現場に出た時「あぁこういうことだったのか」と実感しました。そういう毎日はお祭りみたいに楽しかったんですが、1年契約のリミットが近づき、さてどうしよう‥‥と。


浅井 千瑞

またしてもバイト先の紹介から道が開ける。
でも私、大丈夫なの?

 せっかくテレビ番組がどう作られるかわかったから、もう少しやりたい、という気持ちに傾いていた頃、またしてもバイト先で良い話をいただいたんです。編成はいろんな人が来るだけではなく、こちらから様々な部署の人に配り物をする仕事も多かったのです。だから自然とプロデューサーやディレクター、マーケティング関係など、いろんな方とお知り合いになれて…。契約期間が終わる頃、みなさんが私の行き先を心配してくださり、その中で編成の方が「現場に出たいなら制作会社、紹介するよ」と言ってくださいました。
 それが現在勤務しているMMJです。もちろんありがたかったのですが、実に悩みました。当時、というか今もですが、制作会社のADといえば、きつい、汚い、寝れない、給料安い、というイメージがあり(笑)、現場の仕事はやりたいけど、入っちゃって大丈夫なの私?と恐くて……。すごくかわいがってくれた、編成にいた女性の先輩社員の方に相談したんです。当時40代ぐらいだったかな。彼女はそれまでADも情報番組のディレクターもいろんな現場仕事を経験して、すごくカッコいい人だったんです。その人が「やめたほうがいいわよ。あれは女の子がやるべきことじゃないわね」と、たばこをふかしながら笑う姿がすごくカッコよかった。酸いも甘いもかみわけたからこそ言える、みたいな。その姿に「お~、カッコいい! 私もそれ言ってみた~い」と思ったんです。また他の先輩たちのアドバイスなどもあり、「ええい、やっちゃえ!」と(笑)。
 MMJに入社すると、忙しさを覚悟していたのですが、最初はものすごくヒマだったんです。もうあまりにヒマで地下鉄路線図を全部覚えちゃうぐらい。もちろん私が使えないから暇だったのですが、みんな忙しいので教えてくれる人もいなくて…。その状態で数ヶ月過ごし、ある先輩が体を壊したため、その代役としてドラマの途中でAP(アシスタントプロデューサー)の補佐としてついに現場に入ることに。しかしやっぱりそこには過酷な現実が待っていたのです。(後編につづく)

後編はこちら


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