ポタジエ 柿沢安耶さん メイン写真

女子なら気になるベジタブルスイーツ。ひときわユニークでおいしいと評判の野菜スイーツで知られるパティシエの柿沢シェフがつむいできた夢で、アルバイトが果たした役割は大きいのでした。

バイトがあったから 〜性格をガラリと変えてくれたもの〜

ポタジエ 柿沢安耶さん

 「私、子どものころは喘息持ちで体も弱く、高校を卒業するまで運動もぜんぜんしたことがなかったんです。だから、大学生になって喘息もよくなると、まずアルバイトを始めようと思いました。体を動かせれば、体も少しずつ丈夫になるだろうし、留学の費用を貯めるため、という目的もあったんです。それで、友達と一緒に面接を受けに行って残念ながら受かったのは私だけ(苦笑)。そのアルバイトが和食屋さんでの接客業でした。これがまたすごく大変だったんです。着物着て、足袋履いて、ずうっと立ちっぱなし。最初は2度とやりたくないって思ったほどだったんですけど、私、はじめちゃうとやめられないタイプなんですよね。結局大学を卒業するまで4年間続けちゃいました(笑)。

 大学在籍中のアルバイトは、この和食屋さんのほかにもフランス料理屋さん、ケーキ屋さんもやって、最高で週5日やっていた時期もあります。でも、そのどれもが接客業。“お前は接客が向いている”ってすごく言われて……。私、大学1年のころからフランス料理研究家のところに勉強に行っていて、料理の仕事がしたい!って思っていたのに…ですよ。フランス料理屋でのアルバイトも、求人情報を出しているお店を探して、実際にそこで食べておいしかったから面接を受けたのに、接客が向いていると強く言われて結局料理はできませんでした。今思えば当たり前なんですけどね。料理専門学校を卒業した人が皿洗いでもいいから、って厨房に入る順番待ちをするようなお店でしたから、きちんとした勉強をしていない私が厨房に入れるわけがないんです。ただ、結果的には接客業をとことんやれて良かったと思ってます。

ポタジエ 柿沢安耶さん 実は私、子どものころは引っ込み思案で、ぜんぜん人と話ができなかったんですよ。それが今では、講演をすることもあるし、お店でもお客さまとすごく話します。小さいころの私を知っている人が、こんなにもしゃべっている今の私の姿を見たら、とてもびっくりするでしょうね。そうなれたのは接客業をやってきた経験があるからなんですよ。人と話をすることは、仕事だけじゃなく、生きていくうえでも重要なことじゃないですか。いろいろな人がいることを知ることもできるし、外の世界や社会と折り合いをつけることも学ぶこともできます。最初から厨房に入ってしまっていたら、それを学ぶこともできないまま、大きくなっちゃっていたでしょうね。それに、今『ポタジエ』の看板メニューのひとつになっている小松菜のケーキも、実は常連のお客さまからの一言をヒントに生まれたものなんです。接客業のアルバイトで“人の話を聞く”ことを学んでいなかったら生まれていないメニューだと思うと、やはり接客業で身につけたものは大事だったと思います。あと、料理をしたくてもできない状況が、逆に自分のお店を早く持ちたいという気持ちにもつながったので、接客業のアルバイトは、本当に無駄なことはなにひとつなかったなと思います」

プロフィール

ポタジエ 柿沢安耶さん

かきさわ・あや


 大学在学中からフランス料理研究家にフランス料理を学び、フランス本国への留学を経て、“毎日食べられるもので健康を”という思いからスイーツへ、野菜へとたどり着いた。
 ケーキショップ、カフェ勤務を経て、2003年栃木に「オーガニックカフェ・イヌイ」。2006年中目黒に「ポタジエ」をオープン。現在は地方自治体と地域の野菜を使ったスイーツ作りや講演など多彩な活動をしている。

インフォメーション

9月のポタジエのテーマはカボチャ——
新メニュー登場!

 「お料理じゃなくてスイーツなのは、楽しんで毎日食べながら、健康になれるから」という柿沢さん。
 「今のおじいさん、おばあさんが元気なのは、昔ながらの食事で、農薬や添加物のない食事をしてきたからで、今の私たちもそういう食生活を取り戻さないといけないと思うんです」
 それには、その土地土地の、季節のものを食べることが大切だという。 「『身土不二(しんどふじ)』という言葉があります。体と、暮らしている土地は、二つのものではない、という意味なんですが、季節に合ったその土地の食べ物を食べるのは、ごく自然で健康にもよいことなんですよ」
 そんなガイドラインに従って、ポタジエでは、毎月毎月季節に合わせた特別メニューを提供している。8月の特別メニューのテーマは「枝豆」だった。そして9月は…かぼちゃ。
 9月6日から発売となる「カボチャとキャラメルのロール」(カット360円、1本1365円)。かぼちゃを練りこんだムースを、キャラメル風味の生地で優しくロール。かぼちゃのほろほろとした甘さとキャラメルの懐かしい甘さが絶妙のハーモニーを奏でる。夏から秋の野菜のかぼちゃのすがすがしさをよく表した夏の終わりにふさわしい一品。

カボチャとキャラメルのロール

9月6日発売
「カボチャとキャラメルのロール」
(カット360円、1本1365円)

撮影:三橋令嗣

取材協力:TOKYO HEADLINE

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