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中山うりメイン写真

静かにファンを増やしてきた“ミラクルヴォイス”・中山うり。実はアーティストでもある彼女は、美容師という“アルバイト”をし続けているワケで……?

バイトがあったから 〜初めて知った、人と接して向き合う“強さ”〜

中山うり

 「アーティストとしての時間が多くなって、だんだん美容師のために使う時間が少なくなってきてしまってはいるんですけど、今のところ美容師の仕事を辞めるつもりはないんです。(一人前になるための)修業の時期が長かったし、中学生のころからずっとやりたいと思っていた仕事でもありますから……。

 最初のころは、時間的には美容師が“本業”でアーティストが“アルバイト”みたいな感じだったんです。美容師の学校を出て修業しているころ、やっぱり自分は音楽がないとダメだなって思って、休みの日に音楽をするという程度。最初は音楽は仕事だなんていえない“趣味”程度だったんですよ。音楽じゃ食べられないって思ってましたしね(笑)。それがいつの間にか曲もできてきて、CDデビューしてレコーディングの時間が満足に取れなくなってきてしまったんです。それで、一晩考えて時間的に逆転させようって決めたんです。『ここで決めなくちゃ後悔する、もう少し時間があれば音楽できる』って。だから今は音楽の時間が長くて、美容師のほうが短くなってはいるんですが、気持ちとしてはどちらも本業のつもりでやっています(笑)。

 今考えると、時間は短くても美容師の仕事は、アーティストという仕事にも役に立っていることがたくさんありますね。まず心の問題としてです。
 美容師は一人前になるまでに、とても長い時間がかかるんです。最初にシャンプーをやらせてもらえるまでは、先輩がカットした後のフロアの掃除をするだけ。仕事あがりに先輩の頭を借りてシャンプーの練習をして、何回も試験を受けて、合格すると初めてお客さんにシャンプーができるようになるんですけど、ここまでで、長い人だと3ヵ月。私は1ヵ月くらいで合格しましたけど、それでも“やっとかよー!”という気持ちでした(笑)。

中山うり シャンプーのコツですか? 自分が洗ってもらってたらどんな気持ちか考えること。それから、かゆくなるのは頭の真ん中のラインに沿ったところなので、フェイスライン際から真ん中に向かって力を入れていくと気持ちいいとか、そういう法則を知ることでしょうか。
 そんな『練習して試験を受ける』というのを、シャンプーの次はパーマの巻き方、カラーリング、それからカット(スタイリング)という段階を踏んで、ようやくスタイリストとして一人前になれるんですけど、それまでに4〜5年はかかります。ちょっと長いですよね。私が働いていたところは特に厳しかったのかもしれません。でも、そういう長い下積みをしてきたことは、自分を精神的に強くしてくれたと思うんです。なんとか脱落せずにその過程を通ってきたことで打たれ強さも身についたんですよね。

 音楽の仕事が忙しくなってきたときはとても疲れてしまって“美容師は辞めちゃってもいいのかな”と思ったりしたこともあったけど、フリーのスタイリストになって、指名が入ったときだけフロアに立つようにしてからは、辞めようとは思わなくなりました」

プロフィール

なかやま・うり


2007年にCDデビュー。小さな体で大きなアコーディオンを操り、“ミラクルヴォイス”と呼ばれる歌声で歌い上げる“アコーディオンを抱えたシンデレラ”。タンゴ、ミュゼット、ジプシースウィングなど世界中のアコーディオン音楽を絶妙にブレンドした独特の楽曲で聞く人を魅了する。

インフォメーション

中山うり『夏祭り鮮やかに』


中山うり、初のEP 『夏祭り鮮やかに』
Now on Sale


 「このEPは、春から夏にかけてしっくり聞いてもらえるように、そんなコンセプトで作りました」 という中山うり初のEP『夏祭り鮮やかに』は、春の話題映画『あの空をおぼえてる』(竹野内豊・水野美紀出演 4月26日より全国ロードショー)の挿入歌に抜擢された同名の1曲のほか、同様に挿入歌となった『月とラクダの夢を見た』など6曲を収録している(うち1曲はインストver.)。

 「このEPから映画に入っていってほしいし、逆に映画から“中山うり”に入ってきてほしい。そういうふうに聞いてもらえるように作りました」という1枚。また、ライブでは定番のナンバー、高田渡の『生活の柄』も収録。今までとは一味違ったテイストながらも、中山うりらしさが十分に発揮された1枚となった。

 「今回は、今までの“淡い”雰囲気ではなく、リズムがシンプルで混じり気がない、“原色”に近い鮮やかな仕上がりになっていると思います」
 中山うりのミラクルヴォイスの入り口に最適。親しみやすくて、でも優しい深みに溢れたナンバーをどうぞ。

『夏祭り鮮やかに』 SICL 199 1835円
関連情報:http://www.worldapart.co.jp/

撮影:三橋令嗣

取材協力:TOKYO HEADLINE

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