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田中 圭メイン写真

「いい役者」。この呼び方がぴったりくる若い俳優はどれだけいるのだろう。今回はそんな数少ない貴重な?若くて“いい役者”がアルバイトを語る。役に立たないことなんて、何もなかった、アルバイトの日々——。

いいじゃん、アルバイト 〜アルバイトをすれば“得した気分”〜

田中 圭

 「高校生のころから始めたアルバイトですが、カラオケボックスと、その後やったお寿司屋さん以外、僕がやってきたのは大半が1日だけの短期バイトでした。朝4時にドコソコの前に集合して、夜まで荷物を運ぶ、そんな仕事が多かったです。そういうアルバイトでも、今考えると“やってよかった”と思えることがいくつかあります。

 本当にちょっとしたことですが、例えばカッターの使い方を覚えたとか。特別な使い方とかじゃなくて、シュッと取り出してカチカチと使う、ただそれだけなんですけど、意識しなくても自然に使えるようになっていたんです。これが今のドラマや映画の仕事で、そういうシーンのときに役に立っているんです。使い慣れていないものを使うときには、意識しないといけないけど、アルバイトで使っていたおかげで自然に使えて演技にも無理が出ないんです。こういうことは実は結構チョコチョコあって、アルバイトしていてよ良かったと思うんですね。

 若いうちから活躍されている俳優さんたちの中には、アルバイトをしたことがない人もいると思いますが、それはもったいないというか、僕はアルバイトをしてきた分ラッキーだったなと思うことが多いです。それに、演技のことだけじゃなくて、やったことのないことをやると単純に得した気分になる。それもアルバイトのいいところ。

田中 圭 今でも“お芝居するのに役に立つ”という観点でアルバイトをしたいと思うことがあります。窓ガラスの清掃のアルバイトとか、高いところで『こえーっ!』とか言いそうだけど体験してみたいですね。あとは占い師のアシスタントのアルバイトとか。

 アルバイトしていて、無駄になることはひとつもないって思いますね。だから、例えば昔の僕みたいにモヤモヤと不安を持っている人、先に光が見えない人はぜひやってほしいです。深く考えないで、ヒマつぶしのつもりでもいいじゃないですか。絶対に新しい経験ができるはずです。逆にやりたいことがある人は、同じ方向性のアルバイトをすればいいでしょうし。

 それにアルバイトのいいところのひとつは、出会いがあることじゃないでしょうか。学校とはまた違う人たち。これもアルバイトで得した気分になるものですよね。同じ夢や考え方をする人と出会えることがあると思うと、僕は今でもアルバイトをしたくなります。

 アルバイトをしたことのない人は、気軽な気持ちでアルバイトを始めてみたらどうでしょう。続けられないと思ったら、それはきっと自分が本当にやりたいこととは違うということだと思います。だったら、自分がやりたいと思えるものを探して次のアルバイトへ行けばいい。続けられると思ったら続けられる。それがきっと自分のやりたいこと、そして夢につながっていることなんじゃないでしょうか」

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プロフィール

たなか・けい


 1984年生まれ。2000年俳優デビュー。ドラマ『ウォーターボーイズ』で脚光を浴び、以降数々のドラマ・映画作品に出演。「憑依系の俳優じゃない、客観的な自分がいる」というが、無理のないナチュラルな演技が魅力のひとつ。昨年12月、岩松了作・演出の『死ぬまでの短い時間』で初舞台を踏み、演技・活動の幅を広げている。

インフォメーション

主演作・映画『凍える鏡』 1月26日公開

 明るい好青年を演じることの多い田中が、今までとはうって変わった役を演じる映画『凍える鏡』が1月26日公開。

 都会でひっそりと描いた絵を売る瞬(田中)は、ある日ふとしたきっかけで、田舎で暮らす童話作家・香澄(渡辺美佐子)に出会う。瞬は幼いころ母親から受けた虐待のために心に傷を負っていた。瞬との交流の中でそれを知った香澄は、臨床心理士の娘・由里子に治療を依頼する。しかし、由里子もまた瞬と同じように母親に満たされない思いを抱く一人。好意を寄せながらも、ささいなことがきっかけで由里子の治療から逃げ出した瞬は、香澄とともに雪深い信州の山里で暮らすようになる。そこに、由里子が現れ、3人の心が暗い闇の奥で揺れ始める…。

 「どんな現場でも毎回毎回がターニングポイント。何かを学んで、少しでも結果を出して次につなげていきたい」と語る田中が今回挑んだのは、心に闇を抱える青年。少人数のチームで、長野県の山奥で行われた撮影も、演技を磨く肥やしになったようだ。「演技はいつだって“まだまだ”と思うんです。試写を見ても恥ずかしい。でも、今回の監督とのやりとりは、今までやってきた演技のやり方と違っていて勉強になりました。瞬の心の葛藤と、親と子の再生の物語をぜひ見てみてください」

1月26日よりシネマ・アンジェリカにて
ロードショー 出演:田中 圭、冨樫 真、
渡辺美佐子 監督・脚本・編集:大嶋 拓  2007年/日本/カラー/100分/HD
HP:http://www.kogoeru.net/
製作・配給:「凍える鏡」製作事務所

撮影:三橋令嗣

取材協力:TOKYO HEADLINE

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