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中村 栄利メイン写真

アルバイトは夢につながる虹のかけはし。今回はそんな虹の橋を渡った若き“天才ラーメン職人”中村栄利が登場。彼の渡ったのはどんな橋だったのだろうか——?

バイトがあったから〜コンビニスタッフ〜

「もともと家が自営業だったんです。祖父がよろず屋(スーパーマーケット)をやっていて、“中村屋”という屋号はそのころからのもの。

父親の代になって、コンビニエンスストアを見た両親が“あれはすげーぜ”って“中村屋”という看板は家の中に移してコンビニを始めたんです。それで、お金をもらう本当のアルバイトってわけじゃないですが、親のコンビニで初めて手伝いをしたのは小学校2、3年のころから。

子供心にもオヤジのユニフォーム姿ってカッコいいなって思ったし、「コンビニ」という言葉が何かも誰も知らないころで、神奈川でも数少ないコンビニだった。だから学校で親がコンビニエンスストアやってるんだぜ、って言うのも誇らしかった。

親も本当に仕事が好きでやってるって雰囲気をかもし出してましたから、仕事はお金のためにやるんだって全然思わなかったんです。母親も“お父さんの給料が…”とか言わなかったしまあ自営業だから給料じゃないし(笑)。

もうごくごく自然に、いつの間にかアルバイトを始めてたんですね。コンビニのユニフォーム着て仕事する前は保育園のころから店の裏でジュースを運んだりしてたし、もっとさかのぼれば、3歳くらいからやってました。昔はコンビニでも野菜をラップに包んで売ってましたから伊勢原の青果市場に父親と出掛けて野菜を運んでました(笑)。

そこではいろいろ学びましたけど、一番はカップラーメンを知ったことですか。野菜を運んでお駄賃をもらって、親がセリに出ている間に待合室で待っていた時に、そこでカップラーメンを食べて。僕、人生で最初に出会ったラーメンはカップラーメンだったんです。そこでラーメン大好きになって、親からも“そんなに好きならラーメン屋になれば?”って言われたりしてましたよ。“三つ子の魂 百まで”ですね(笑)。

中学生になると、夏休みはずっとコンビニでバイト。お金を貯めるというよりは、ヒマな時間をつぶすためにやってたのかな。

そして、中学3年の春休みに初めて外に出るアルバイトをしたんですが、それが宅配便の配送助手のような仕事でした。

知り合いが怪我をして、車の運転はできるけど、荷物の積み下ろしができないからって。時給でいったら1000円くらいでしたか。

まあ、初めて家の外でのアルバイトで、お金をもらうことに違和感を感じたことは覚えてます。こんなにいらないんですけどって(笑)。今思うとなんで?ってくらい、何かを買おうとは思わなかったな。

どのバイトも、お金のためにアルバイトしたわけじゃなかったんです。コンビニは親の手伝いをしようと思ったからだし、宅配も困っている友人を助けようとしたからです。

今の僕にとっては、お客さんに一杯のラーメンをおいしく食べてもらう、ということが一番大切なこと。“お客さんのため”、というとサービス業的な言い方になってしまいますけど、仕事は“お客さんのため”“人のため”という意識は、アルバイトを通して身につけたんだと思います」

プロフィール

なかむら・しげとし


1977年1月1日、神奈川生まれ。アメリカ留学中にラーメン作りの才能に気付き、帰国後22歳で『中村屋』を開業。独学でラーメン作りを身につけ独特のセンスで生み出されたメニューは瞬く間にラーメン通をも認めるところとなった。現在中村屋本店のほか、コンセプトラーメンを提供する『中村やessence』も経営。

インフォメーション

『中村やessence』


中村やessence

『中村やessence』は海老名の一角にひっそりとたたずむ。初めて行くとなかなか気付かないというのは有名な話だ。外装・内装とも“進化”を目指して研ぎ澄まされている。“ラーメン屋”の範疇を超えていく意志の強さには頭が下がる


  「ラーメンってセンスがあれば8、9割は雰囲気で作れちゃうもの。だからなんの貯えもないまま突っ走ってきたけど、このままじゃだめだな、と」
  中村に言わせると、「過去のノリで新しいことをやっても結局『保守的』」な結末になってしまうのだという。


「“売れるもの”が“うまいもの”であり続けるためには今まで売れていたものにすがらず、過去の栄光をぶっ壊して、進化を探るために飛び出さないといけなかった」


  そのために作られたのが『essence』だ。中村がその持てる能力のすべてを“ラーメンの進化”に費やした。メニューは“コンセプトラーメン”。プディングがあり、トリュフ浸しのラーメンがありと多種多様。しかし「味は要素のひとつ」にすぎない。そのため『essence』ではキャストのホスピタリティーや商品力、レストランの環境設定も徹底的に勉強している。


「どこからどこまでが料理なのかわかりませんが、食材以外にも丼の大きさ、レンゲの厚み、安心させるサービスもすべて考えて“一杯のラーメン”を追求していきたいですね」


  中村が追求する究極のラーメン、ぜひ一度味わってほしい。

中村やessence

【住所】神奈川県海老名市中央2-5-41 サティ立体駐車場1F

【電話】046-233-7278 

【営業時間】ランチ:11〜14時(土日のみ・予約不要) ディナー:18〜23時(要予約)

火・水休


中村屋本店

【住所】神奈川県大和田市下和田1207-1【TEL】046-279-3877

【営業時間】平日:11〜15時 土日祝:11〜21時(ともにスープ終了次第営業終了)

水休

撮影協力:中村屋本店
撮影:三橋令嗣

取材協力:TOKYO HEADLINE

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