監督とよばれるシゴト
第1回

監督とよばれるシゴト映画監督・山崎貴

映画監督・山崎貴さんに、最新作『海賊とよばれた男』の撮影裏話とともに監督自身のシゴト観についてたっぷりうかがいました!

撮影/宅間國博

「やらない悔しさ」より「挑戦する大変さ」

理性を打ち負かす、人情と男気

映画監督の山崎貴です。これから4回にわたって、最新作『海賊とよばれた男』のお話や「映画監督」というシゴトの話などを、僕自身の経験や思い出から話したいと思います。

公開を目前に控えた『海賊とよばれた男』ですが、お話をもらったのは映画『寄生獣』をつくっていたときだから、2014年ですね。第一印象は「やれる、やれないで言えば、やれるけど……ど……ど……」という、歯切れの悪い感じ(苦笑)実際に『海賊――』の映画を観ていただくとわかりますが、今作は舞台となる場所がとにかくたくさん出てきます。北九州・門司、東京・銀座、イランのアバダン、中国の満州。満州なんて、今はもうない場所です。この時点で「シーンの拠点がないってことは、セットもロケも増えるということ。撮影が大変だぞ」と思うわけです。『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズも、過去の町並みを再現したりと大変でしたが、あれは「三丁目」というベースとなる舞台がある。腰を落ち着けて撮影ができるというのは、スタッフにもキャストにとっても楽なんです。なにより「予算とスケジュールをどう収めたらいいのだろうか……いや、収まらないのでは?」となり、グルグル頭が回り始めるわけです。そしてさらに、「ヒットさせるにはどうすればいいんだ」と考え始める。映画はたくさんのお客さんに観てもらい、予算の3倍~4倍の興行成績を上げないと、ヒットしたとは言えません。「海賊とはいえ、石油の話を皆が観てくれるのか」と。当時は海賊物がたくさんありましたからね。不安になったりしていました。

でも、シゴトは受けたんですよ(笑)
百田尚樹さんの作品は『永遠の0』も手がけてます。だからこその企画、だからこその僕へのオファーのはず。「やらなかったら、きっと後悔するぞ」と思ったんです。いつもそうなんですけど、企画の話が来ると、男気というか人情が勝っちゃう。それで受けた後「未来のオレ、ごめん!」と謝るんですけどね(苦笑)

運命の出会いは、もれなく逃さない

映画に何より大切なのは、ストーリーです。CGなどのVFXは、物語を引き立てる演出のひとつにすぎないと考えています。ですから『海賊――』のように魅力的な物語の企画に出会うと、ワクワクするんです。自分の手で映画にしたい、と思います。でもすべての企画を受けることはできません。だから手がけられなかった企画が映画になったときは、必ず観に行きます。悔しいですから。

その作品が素晴らしければ、本当にうれしいんです。それは映画業界にとってもプラスになることですから。そして自分にとっても学べる、刺激をもらえる時間になる。逆に「やっぱりオレがやりゃよかった!」と思うときもある。そのときは「こうすればいいのに」という思いやアイデアがわいてくる。それを自作に活かそうと思いますね。

監督できる作品との出会いって、タイミングだったり運命だったりするんです。映画にできなかった作品を観に行くのって、好きだった人の結婚式だったり、今の暮らしを垣間見ているような気分になる。「しあわせそうだ。オレじゃなくてよかったね」とか「オレならもっと幸福にできたのに!」って(笑) そういう悔しい思いをしないで済むよう、できるだけもらった企画は実現したい。そして、必死でいい作品にしよう、ヒットさせようと思うんです。

『海賊――』とはタイミングよく出会え、なんとしても自分が映画にしたいと思った企画。ヒットするよう、いろんなことを考え、みんなで一所懸命につくった作品です。運命の人と出会って、新しい子どもが増えた感じです。ぜひ、末永く多くの人に愛される作品に育って欲しいと思っています。

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