連載コラム

茂木健一郎の
今日からバイト脳

第1回(全12回)

バイトには、人生のヒントがつまっているのです

脳からバイトを視てみると

今週から連載コラムを担当する茂木健一郎です。脳科学者として、脳と心の関係について研究をしています……って、皆さん、もうご存知ですかね。『an』のコラムですから「はたらく」「脳」「心」「生きる」みたいなことを、脳科学者の視点からいろんなお話しをしたいと思っています。

『an』を見ている人には、バイトを探している人が多いということですよね。実は僕も、高校時代からたくさんバイトをしてきました。近所の人に頼まれて、まずは家庭教師。大学生になってからは、当時の『an』は『デイリーan』という名前の日刊の有料求人誌だったんだけど(懐かしいなあ)、予備校で模試の採点をしたり、問題をつくったり。きっかけは「自分がやりたいことができるお金を稼ぎたい」からでした。バイト代は、趣味の映画やオペラ、浄瑠璃の鑑賞に消えてましたよ。

バイトの職場は、社会の縮図

バイトって、いいもんです。学生にとっては、社会との接点を持てる社会学習の貴重なチャンス。バイトでは、お店のスタッフだったり、試験監督だったり、予備校講師だったりと、役割を与えられる。その役割をうまく果たすことが、バイトの目的になるんですよね。バイト先には、社員や先輩がたくさんいて、それぞれが店長や現場の責任者や塾長などの役割を与えられ、それぞれが成果を出すためにしっかりはたらいている。それを見て、自分も自分の「役」を上手に「演じよう」とすることが、「システム」を理解することに繋がるんです。社会は「システム」の集合体。その中で自分が与えられた役割を、どううまく演じるかがわかれば、ストレスもなく、うまく生きることができる。バイトは社会の縮図なんです。

僕は、バイトをしながら、そのことに気がついて、いろんな人を観察していましたよ。「お店」というシステムの中で役割を演じている「バイト」「社員」にも、当然、うまい人ヘタな人がいます。それを見極め、うまい人の真似をすることが、シゴト上達の近道になるんですよ。おもしろいのは、社会に出てからも、まったく同じやり方が通用するということ。テレビのシゴトなら「司会」「コメンテーター」という役割を与えられ、うまく演じることで番組が成立します。すべてはバイトの経験が役に立ってるんです。そういう意味では、いろんな番組に出て、番組ごとに違う役割を与えられ、演じようとしている僕の人生は、「バイトの集合体」ですね、ホント。

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