杉咲 花

HANA SUGISAKI
女優

10代で体験できた得難いものが、私を築いていく そして10代でしかできないことに集中して、 私は育っていく

飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している女優といえば、今、数多くの映画賞を受賞している杉咲花だ。共演者が日本を代表する名優であろうと物怖じせず、むしろ相手が実力派であればあるほど「負けていられない!」と燃えるタイプ。演技派女優としてメキメキと頭角を現す中、さらに驚いたのは、木村拓哉主演映画のヒロインに抜擢されたというニュース。あどけなさが残る19歳のポテンシャルは計り知れない。

命を削るほどの覚悟で
撮影に挑んだ日々

ベストセラー漫画『無限の住人』が実写化され、私は木村拓哉さん演じる不老不死の剣士・万次の相手役の凜を演じました。三池崇史監督が原作の大ファンであり「原作をリスペクトしたい」とキャスト陣に繰り返し伝えていました。それに応えるため漫画で印象に残った凜の表情を印刷して台本に貼りつけ、再現性を高めました。撮影前と後で私に大きな変化があったとすれば、木村拓哉さんに出会えたことです。木村さんはどんなときも「万次」でい続けていらっしゃいました。ご自身が映っていなくても、私の目線の先に万次がいるシーンでは、極寒の雨の中で傘もささずに防寒服を脱いで、素肌に薄い着物1枚と裸足に草履という姿でつき合ってくださいました。作品の見どころは「万次×剣士300人」。激しいアクションシーンの撮影が3週間続き、スタッフ・キャスト全員が決死の覚悟のもと身を削りながら挑みました。木村さんはケガをされることがあっても、周りを敬う姿勢を崩しません。万次は凜の用心棒で命を預けている相手です。絶対的な信頼関係が前提ですから、木村さんが尊敬し信頼できる存在であり続けてくださったことに、心から感謝しています。一番好きなシーンは、万次が戸田恵梨香さん扮する蒔絵と激しい殺陣を繰り広げるシーンです。重要なシーンのため撮影時間が押してしまいました。当時まだ高校に通っていた私は、学校でのテストの都合上、その日のうちに撮影現場の京都から東京に戻らなければいけませんでした。そんな事情を考慮し、スタッフさんが私のカットを先行する形で撮影してくださいました。私の都合で負担をかけ、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そのシーンがどんな仕上がりになったのだろう……とずっと気になっていて、完成した作品で戸田さんのお芝居を拝見したのですが、もう言葉にならないほど素晴らしかった――。本来いるはずの凜がいないお芝居は、簡単ではないです。私が逆の立場だったらここまでできただろうかと、悔しい気持にすらなりました。撮影は極寒の京都で、2015年の11月から約3ヶ月かけて行われました。その間、最高のプロ集団である「三池組」にいられたことがしあわせでたまりませんでした。高いモチベーションで意見交換しながらコツコツ作品づくりをすること。これを10代でさせていただいたのですから得難い体験です。

趣味はドラマ鑑賞
ほぼ全作をチェック!

私、ホンモノのテレビっ子だったんです。小学生のころは帰宅するとすぐにテレビをつけてオンエア中のドラマをすべてチェックしていたので、数十作品が同時進行していたことになります(笑)そんな中、圧倒的な魅力を放っていたのが志田未来さんです。志田さんの演技が大好きで追いかけるうちに、私も女優のシゴトをしてみたいと憧れるようになりました。これまでたくさんの作品と出会い、どれも自分にとって大きな存在です。どんな役も初体験ですから、まるでデータが更新されるように自分自身も更新されていくんです。あえてターニングポイントをあげるなら、ドラマ『夜行観覧車』はいろいろな意味で特殊でした。鈴木京香さんの娘役を演じ、発作的に凶暴になる役どころは、心理描写がとても難しかったです。自分とかけ離れた人格を演じきるため、演技指導の先生と「暴れるシーン」の練習をするなどして感覚をつかんでいきました。『夜行観覧車』は注目度の高い作品でもあったので、私のお芝居を見て多くの反響をいただけるのもうれしかったです。

お芝居をするときに
嘘があっては決してダメ

作品によって自分が更新されていくと感じるのは、監督との出会いの数だけ役づくりの方法論を学べるからだと思います。映画『トイレのピエタ』の松永大司監督は、リハーサルを繰り返し行い、実践を重ねながら作品をつくりあげるかたでした。お芝居をしながら決して嘘をついてはならないことも学びました。役者が役とは違う感情を抱えていたり、そこにある違和感はすべてスクリーンに映し出され説得力を失ってしまう――。その役の人生を生きるためには、人物や人物を取り巻く環境を深く理解しなくてはいけないんです。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督には「本当の家族になって欲しい」と言われ、母親役の宮沢りえさんを「おかあちゃん」と呼び、敬語をやめ、日常的にメールを送り合うなどして親交を深めました。宮沢りえさんではなく、私の「おかあちゃん」。嘘偽りなくかけがえのない存在になることで、彼女に降り掛かる困難は自分ごとのように私を苦しめました。あの愛情に嘘はなかったと、自信を持っています。NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』もまた家族の物語でした。私は主人公の妹・三女の小橋美子役を演じました。朝ドラの醍醐味のひとつは、その人の一生を追うという点です。撮影の半分以上は、私の実年齢よりも上の美子を演じました。10代であれば、私も通ってきた道なので感覚をつかみやすい、けれどその上は……結婚、出産、子育てをしながら会社を大きくしていくことは、私にとって初めてでした。役者として、そういう振り幅を求められるのだと改めて思いました。もうじき10代が終わります。新しいことにどんどん挑戦していきたくて、これまで演じたことがないコメディの会話劇などは興味があります。それと、今しかできないことに集中したいですね。10代ならではの無垢な感情やエネルギーをひとつでも多くの作品に閉じ込めておきたいです。

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豚にはサツマイモ!?
大好きな豚しゃぶを自宅で週に1回は食べますね。おすすめは、サツマイモを生のまま湯の中に沈めておくこと(笑)しゃぶしゃぶしている間に火が通って、箸休めにポン酢で食べるとすごく美味しいんです。試してみてください! 2017 April・May 杉咲 花

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