松坂桃李

TORI MATSUZAKA
俳優

今日のこの挑戦が 10年後、20年後の自分の未来につながっている その可能性を信じていく

松坂桃李が『an』に登場するのは、4回目。「大変なことが想像できるのに、どうしてこの役を選んだのですか?」と、毎回たずねてしまう。彼は、そんな作品をひっさげてやって来る。質問に「満足なんてできません。自分に課すハードルを上げて、もっともっとできることを増やさないと、この先が不安なんです」と笑いながら答える。永遠の未完成。だからこそ、松坂桃李は輝きを放つ役者であり続ける。

「初めて」の連続の中で
役者は知らず育っていく

映画『キセキ ―あの日のソビト―』では、いろいろな「初めて」を経験し、たくさんの刺激と気づきをいただきました。実在の人物、しかも実際に、そのかたにお目にかかってから演じるというのは初めての経験でした。僕が演じたのは『GReeeeN』のボーカル・HIDEさんの兄であり、『GReeeeN』のプロデューサーも務めるJINさんです。撮影前に、HIDEさん、JINさん、映画でHIDEさん役を演じた菅田将暉と4人で食事をする機会がありました。JINさんの第一印象は「気持ちのキレイな人」。音楽家らしいJINさんの感覚的な言葉は、胸にスッと入ってきて、人を共感させ惹きつけるような魅力がある。この素敵さをどう表現しようか、とても悩みました。それと、JINさんとHIDEさんの兄弟ならではの、言葉以外のコミュニケーション部分の表現も、とても悩みました。兄弟の雰囲気って、ちょっとした会話や態度に出るはずで、がっつり共演するのは5年ぶりの菅田と僕がどうやって醸し出せるだろうか、といろいろ考えました。考え続けていたんですが、気がつくといつしか菅田と自然に兄弟になっていました(笑)現場で会うと、すでに兄弟の演技が始まっている。不思議な感覚でした。5年ぶりの共演は、見た目はあまり変わらないけど演技をすると「菅田、分厚くなったな」と彼の成長に驚かされました。野球にたとえると、軟式から硬式に変わった感じです。僕との共演について菅田のインタビューを聞く機会があったのですが「桃李くん、パンチが重くなったね」と語ってくれていて、うれしかったですね。「心が通い合っている!?」なんて思っちゃいました(笑)

イメージを崩したい
それが役への原動力

映画の中で、菅田と兄弟になっていた!と思えたエピソードがほかにもあります。小林薫さん演じる、僕ら兄弟の父は、とにかく厳格な父親。口より先に拳が飛んできます。父に自分の決意を告げるシーンで、小林薫さんを前に、僕は自然と正座をしていましたが、菅田も同様のシーンで正座をしていたんです!後で「正座してたね」「桃李くんも」「しちゃうよな」「うんうん」……なんて、笑い合いました。父と息子のシーンを演じ、夢を追いかけるために、僕自身が父とした、大きなケンカのことを思い出しました。俳優のシゴトに惹かれ、大学を休学しようと決断したとき、「一生やっていけるシゴトだと思っているのか?」という父の言葉に「やってやるよ!」と、売り言葉に買い言葉。結局このケンカで家を飛び出した形になりました。振り返れば当時、まだ俳優のシゴトを一生続ける覚悟なんてできていなかったんです……。でも、盛大なタンカを切って俳優の道へ飛び込んだため、ずいぶん長い間、気まずくて実家に帰ることができませんでした。デビュー作のおかげで、次々と新しい作品へ声をかけていただくことが多くなった半面、当時の自分についていたヒーロー役のイメージをどう打ち壊して行くのかと、俳優としての新しい悩みも抱えていました。悩みながらも、とにかくガムシャラにいろんな役に挑戦し、2012年に『梅ちゃん先生』で「朝ドラ」に出演できたころ、ようやく実家に顔を出せるようになりました。悩みが消えたわけではなく、少しだけ両親を安心させることができた……ということでしょうか。両親はハラハラしながらも、今も俳優の僕を応援してくれていると思っています。

未来の可能性のための
挑戦で安心を得る

2017年は20代最後の年です。今まで以上に力を入れて、現在の「松坂桃李」のパブリックイメージを崩す挑戦をしたいと思っています。初めての役に挑戦するのは、正直言えば緊張するし、不安だし怖い。でも「松坂桃李って、あんな感じだよね」というイメージが定着してしまうほうが、もっと怖い。40歳、50歳になったときでも俳優としてシゴトを続けているためには、毎回、自分のハードルを高く設定しておかないと、成長にはつながらない。そう信じています。どんどんハードルが上がる=未知の領域に挑み続けるには、自分自身を鍛える必要があります。わかったつもりにならず、わからないことがあったら、じゃあ、どうするの?と自分に問いかけ振り返り、考えたい。このハードルを越えた先が未来に繋がっているはずだ、と信じて挑戦し続けたいと思っています。苦難ばかりじゃありませんよ。挑戦していると、初めてのことがいっぱいあって楽しいのも事実です。今作では歌に初挑戦しました!ライヴのシーンで、初めて「歌手」として発信する側に回り、「歌手の皆さんって、1曲ごとにこれだけの体力と技術を使って、魂を注ぎ込んでいるんだ……」と実感し驚きました。あの熱量があるからこそ、聴く人の心に刺さるんですね。パフォーマンスへの方向性は、参考にしたいと思えました。そんな気づきや刺激には、チャレンジを続けていれば、また出会える。2017年は本気で、正念場だと思っています。1年でどう変われるか、僕自身が楽しみなんです。

シゴトノキメゴト シゴトノキメゴト

作品ごとにテーマソングを!
作品ごとに、気持ちのスイッチが入るテーマソングのような曲が自然とあるんです。移動時間はいつもそれを聴いて、気持ちを高めています。『キセキ――』は「Pay money To my Pain」の『Rain』がテーマソング。映画を観たら、ぜひ聴いてみてください。

おすすめコンテンツ

トップ >  アルバイトニュース・プラス > インタビュー >  松坂桃李