「作る喜び」を働いて実感
見つけた! バイトから将来の道(お菓子職人編)
バイトをしているなかで、「やっていて楽しいことが見つかった!」という方はいますか? 「お給料だけが目的で、そういうことは特にないなぁ」という方のほうが、多いかもしれません。
イベントやケータリングで作品を発表し続けている、“milky pop”こと望月美那 さん(28)は、ケーキやクッキーを作り続けている、人気お菓子職人。
フードのアルバイトを重ねて、お菓子作りのスキルをみがいたという望月さんに、「働くなかでどのように、モノを作るよろこびを知り、仕事になったのか」を、うかがってきました!
(取材・文:大塚幸代+編集部:メガネ 制作日:2007/1/29) 

お菓子作りのきっかけ
 
だいぶ不純な動機からなんです。
家庭教師の先生が、本に載っていたケーキの写真を眺めて「これ美味しそうだなぁ、食べたいな」ってつぶやいたのを聞いて、ケーキを作ったのがきっかけ。お茶の時間が長くなったら、イヤな勉強の時間が減るんじゃないかと考えて(笑)。
実は私、中学生くらいまで、甘いものが嫌いだったんです。
自分で作ってみて「甘さを調節すれば、自分もお菓子が食べられる!」と思って、自分のために作り始めるようになったんです。
 
望月美那さん
望月美那 さん
milky pop.(ミルキーポップ)の活動の中心は関東。 

望月美那さん
milky popのお菓子は、雑貨のようにキュートですが、味は本格派。「可愛いだけじゃないものを作りたいんです」(望月さん)
 
反対されて、製菓学校を断念
 
高校卒業のときは、製菓の専門学校に行くことも考えていたんです。
作ったものを学校に持っていってクラスの友達に食べてもらっていました。みんなすごい喜んでくれて。「自分が作ったものがこんなに喜んでもらえるなんて」と、うれしくて趣味みたいな感じになっていったんです。
製菓専門学校のパンフレットも何校か取り寄せて、どこに行こうかと悩んでいたんですが、親が大反対。大学に進学する以外は許さないと言われて…家に帰ると、親が勧める大学の赤本が、買って並べてあるような状態で(笑)。しかたなく、短大に進学することにしたんです。

自分で作ったお菓子が商品になって“実感”
 
入学後の、人生初バイトはケーキ屋さんでした。 お菓子作りが趣味だったからというよりは、「家に近かった」という理由の方が強かったです。
そこは年配の男性の職人さんが、レストランやカフェへの納品用に、ケーキを作っているところでした。直売もしていて、私はおもに仕分けと梱包作業。
そこにも学校の時みたいに、作ったお菓子を持って行っていました。
ガトーショコラや、サブレなどの焼き菓子系などシンプルなお菓子。
休憩時に職人さんに食べてもらって、感想をもらっていました。
「美味しいじゃない、レシピ教えてよ」と言われ、教えたら…いつのまにか商品になっていたなんて、うれしい思い出もありました。
自分が作ったものが商品になって売られるのは、今まで"趣味"で作っていた面白さとは違って、ひとつ上の"プロ"という喜びを感じました。
卒業後、そのままここで働かないか、とも誘っていただいたのですが、他の世界を見たかったので、短大卒業を機会に辞めました。
 
パッケージ1
パッケージ2
パッケージ3
「雑貨店のイベントに参加する機会が多いので、雑貨に負けないように、パッケージにもどんどん凝ってしまうようになったんです」(望月さん)

虹をテーマに制作されたケーキ
虹をテーマに制作されたケーキ。かなりかわいいですよね。
 
さまざまな料理を経験し視野が開けた
 
短大を卒業したら、もう親から求められていたノルマは果たしたぞ、と気持ちがラクになって、作ったものが売られる喜びが忘れられずフードの仕事を続けることにしたんです。
まずベーグル屋さんで、ベーカーを1年ほどやりました。
仕事内容は、生地発酵から焼く作業、サンド用のいろんなフレーバーのクリームチーズ作りなどキッチンの作業から接客まで、一通り。
「本日のベーグル」という日替わりメニューがあって、好きな材料を買い、自由にレシピ作りをしたりして、べーグルと組み合わせてスタッフとこっそり試食会をしたり、お客さんに直に声を聞いてみたりそんなひとときがとても楽しかったです。ベーグルとして使えなくなってしまった生地を使用してトマトやいろんな野菜を入れてお手軽カルツォーネを作ったこともありました(笑)。

そのあと、カフェのキッチンに3年半いました。二子玉川にあって、マダムの方たちが来るような雰囲気のお店でした。
スタッフはホール、キッチン、ケーキ工房と分かれていたんですが、私はキッチン。 なぜケーキ工房に行かなかったかというと、甘いものだけじゃなく、甘くない料理もやってみたくて。お菓子ばかりではなく、違う料理をやったほうが、モノ作りへの視界が開けると思ったんです。
今、"milky pop"には60種類以上のサブレのレシピがあるんですが、その中で「サクラエビ」や「ポタージュ」など、通常お菓子にはしない、変わった味のものも作っています。 バーのイベントで、お酒に合うスパイシーなお菓子を出したこともあって…キッチンで働いた経験は、お菓子作りの発想の幅を広げてくれたと思いました。
カフェでは、まかないも作っていました。そこにある材料で、スタッフみんなの好みに合わせて料理するのは、楽しかったです。
スタッフの数も多かったのでそのぶん料理の好みもさまざまでした。 そのあと、ジェラート店に1年ほどいました。そこでもジェラートの味を組み合わせたりして、レシピ開発していました。
そのお店は社員さんが頼りなくて(笑)、雑務、棚卸や発注なんかもまかされてしまっていたので、お店をどうやって運営していくのか、勉強になりました。

同じ気持ちの人と一緒に作る喜び
 
製菓の学校に行っていたら、もっと違う活動形態だったのかな、と想像するんです。製菓学校だったら、マニュアルにそったお菓子作りを学んで、普通に洋菓子店の厨房で働いていたかもしれません。
それはそれで良いんですが、今の作る楽しさを知ってしまうと…。
職場に、個人的に作ったお菓子を持って行って、スタッフたちに食べてもらって、感想を言ってもらったりなど…フードの仕事で、同じツボを持っている人に出会えたり、刺激をもらえたりしたのは、大切な経験だったのだと思います。 また、フードの仕事の雰囲気、そのものも好きでした。
食べる人の喜ぶ顔のために、がんばっている人たちと一緒にいられるのは、心があったかくなるんです、そんな空間が大好きだったので。
 
望月美那さん
楽しそうに材料の説明をしていただきました。そのやさしさが作品にすごく出ています。

望月美那さん
望月美那さん
制作中は時間を忘れるそうです、手間や材料を考えると安すぎる価格で作品が販売されてます。
 
親が認めてくれたプラスの喜び
 
"milky pop"という名前で活動を始めたのは学生の頃からなんですが、趣味を超えて、仕事として今のようにやっていくようになったのは…どうしてなんですかね。とにかくお菓子を作るのが好きで…私、交渉ごとが苦手で(笑)、ただひたすら作り続けているだけなんです。これからもきっと黙々と作り続けている日々を送っていくのだと思います。昼間にバイト先のキッチンで働いているときも、夜自宅で、徹夜でお菓子作っていましたから。
睡眠はつねに後回しなので生活は乱れてまわりに心配かけてしまうんですが…。 でも作るのが好きで、そして食べてもらう時の反応が楽しみで仕方ないんです。 いくつものアルバイトを経験して、そんな強い思いに気づきました。 お菓子を通じて、ほんとに運良くいろんな人とめぐり会えたおかげで、今の活動が出来ているんだと思います。
最近は、お菓子職人の仕事を認めてくれなかった、まじめで厳しい親が、ケーキを注文してくれるようになったんです(笑)。

将来はアトリエが欲しい!
 
今はお店を出したいというより、お菓子作りの環境を整えたいです、アトリエが欲しいですね。たんに大きなオーブンが欲しいだけだったりするんですけど(笑)。 食べたらちょっと幸せ気分になれるものが作れたらいいな…と日々格闘しているので、これからも、たくさんの人に喜んでもらえるお菓子作りを、続けていけたらと思います!
 
クッキー
本当にかわいい! コーヒーカップとどんぐりと落ち葉、アイスキャンディ。すべてクッキーというのがすごい!

望月さんのお菓子職人への道

編集後記
「作る」って本当に楽しいものなんですね。今回の取材でそれが本当に感じました。作品のことを話す望月さんの笑顔。笑顔で「作るのコレは時間がかかるな~と思っても、まあ、寝なきゃいいか!って考えるんです」。すごすぎます。製菓学校で学べなければ、バイトを渡り歩いて学べば良い。前回“カフェのオーナー”の特集同様。このシリーズを取材すると胸暑いものがこみ上げてくるんですよね。

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