研修スタイル、仕事の範囲、ステップアップ…実はここまで違うあなたが活躍できるのはどっち?大きな会社vs小さな会社取材・文:KAWAKAMI 製作日:2008年3月17日
キャリアコンサルタント山田朋絵さん

パーソルキャリア株式会社、キャリアコンサルタント。小さな会社で広告営業を担当していた経験があり、現在1000名以上の企業で働くなかで、自らも組織の大きさによる働き方や、適性の違いを実感している。

働くなら大きな会社?小さな会社?本人がやりたいことや性格によって、向き、不向きがあるんです

 自身の経験ですが、私の前職は少数の広告代理店、現在は社員数1000名以上の企業と、転職によって組織の規模が大きく変わりました。それによって、会議のスタイルはもちろん、コピーひとつとるにも、組織の大きさによって違いがあるものだと実感しています。もし同じ会社で長く働きたいと考えるのであれば、「大きな会社は安定していそう」「小さな会社ならアットホーム」といった一般論に惑わされず、ご自身の性格や目標が、大きな会社と小さな会社のどちらに適性があるのか、研修や異動、仕事の裁量など具体的な場面をイメージしながら考えてみることがとても大切になってきます。

今回説明する大きな会社ってどんなところ?
・従業員が300名以上
・さまざまな部署にわかれた分業制
・社内には顔をあわせない社員もいる

・従業員が20名前後~100名前後
・一人のスタッフが複数の業務をかけ持つことがある
・スタッフ各人が社員全員の顔を覚えている
あなたはどっち?その1 座学で教わりたい? 先輩から学びたい? 入社後にまず気になるのが研修。入社後、自分の性格に適していない環境を選んでしまうと、いきなり痛い目をみることになってしまいますので注意。

大きな会社向きなのはこんな人
 いきなり実務、というのはちょっと自信がないかもなあ。最初は1~2週間ぐらいかけて、同期で入社した他のスタッフと歩調をあわせてキッチリ座学での研修でも受けられれば、安心してその後の仕事に取り組める気がする。

小さな会社向きなのはこんな人
 仕事に必要な知識は、実務を経験しながら学ぶのが、一番のみこみが早いと思う。先輩から直接どんどん教えてもらいたいよね。座学は退屈だから、現場で役立つ技術や知識を素早くマンツーマンで教えてもらえるとさらに嬉しい!
なぜ?プロの解説
座学で学べる仕組みがしっかり

 大きな組織になると一部の専門職を除けば、一度に一定数のスタッフを採用して、全員に一律の研修を行うシステムをもっていることが多くなります。未経験なのでイチから座学で教わりたい人、実務に携わる前に知識をインプットしたい人は、研修が充実している大きな会社が向いているでしょう。

キャリアコンサルタント山田朋絵さん
素早く先輩から吸収できる

 20名前後の小規模な会社では、大きな会社のような細かな研修が行われることは、あまりありません。制度としての研修よりも、実務を通して必要な知識や技術を教わる「OJT」がメイン。だから座学はちょっと退屈、現場で早く吸収したい、そんな人は小さい会社がベスト。




あなたはどっち?その2 フットワーク重視? 組織ルール重視? 自由に自分からどんどん動きたい人、決まりやルールを明確にして動きたい人、それぞれ会社の大きさによって向き不向きがわかれるポイントです。

大きな会社向きなのはこんな人
 自分の裁量だけで仕事をするより、他のスタッフと相談した上で仕事を進めていきたい。企業のカラーや組織のルールにそって、仕事の枠組みがある程度決められているほうが、やるべきことが明確になって、落ち着いて働けると思う。

小さな会社向きなのはこんな人
 ある程度、個人の裁量に任せてくれる会社がいいな。自分の判断でどんどん営業をかけたり、お客さんや社内からの新しい要望には、自分ですぐに応えて、既存の枠組みに捕らわれず、スピーディーな仕事をしていきたい。
なぜ?プロの解説
良くも悪くもルールは多い

 大きな組織の事業を円滑に進めるためには、ある程度細かなルールは不可欠。スタッフはそれらにのっとって業務を進めます。自分ひとりの裁量だけで仕事を進められる範囲は、小規模な会社に比べて少ないでしょう。どんな方向性で働けばいいか、役割意識をはっきりさせて仕事をしたい人には◎。

キャリアコンサルタント山田朋絵さん
社内調整よりも現場重視

 小さな会社では、社員の人数が少ない分、ひとりの意思決定で仕事を進める機会も多くなります。仕事の枠組みも、大きな企業に比べるとやや緩やか。フットワーク重視で自分のアイデアやお客さんの要望をすぐに形にしたい人は、比較的小さな会社の環境ならのびのびと働くことができるでしょう。




あなたはどっち?その3 仕事は広く任されたい? 誰かと分担したい?分業がきっちりしていることのメリット、複数の仕事に幅広くかかわれることのメリット、あたたならどちらをより重視しますか?

大きな会社向きなのはこんな人
 複数の種類の仕事を任されるのは、ちょっと苦手かも。チームプレーで、それぞれの仕事の分業が徹底されていて、営業は営業、事務は事務。そんな風に部署ごとに仕事を分担して、効率よく働ける環境がベストだと思う。

小さな会社向きなのはこんな人
 いろんな仕事を経験して、業務の流れをつかみたい。営業ならお客さんのための資料も自分でつくりたいし、事務ならば部署のことはひととおり任せてもらいたい。部分的なことしかできない仕事だと、やりがいが持てないかも。
なぜ?プロの解説
組織の役割分担が明確

 大きな会社は組織の役割分担がしっかりしており補助的な仕事は他のスタッフや社外に任せてしまうことも多くあります。一方で、仕事の全体を把握しづらく、自分がどんな仕事に携わっているのか、実感を持ちづらくなってしまう人もいますので、どちらが自分向きか、注意が必要です。

キャリアコンサルタント山田朋絵さん
ひとりの業務範囲が広い

 規模が小さな会社だと、一人に任される仕事の種類が多くなります。例えば、事務が経理と総務を兼ねる、WEBデザイナーがプログラムも担当する、など。多彩な仕事に関われるので、広くスキルを得たい人には向いています。逆に、業務の範囲が広すぎてストレスになる人もいるので注意が必要です。




あなたはどっち?その4 新しい人間関係を築くのは得意?苦手?大きな会社でアットホームな組織もあれば、小さな会社でもドライな組織は存在します。それよりもポイントは、入社後の人間関係の変化の大きさにあります。

大きな会社向きなのはこんな人
 社交的なほうで、とりわけ新しい人と仲良くなるのは苦手じゃないし、できれば多くの人と知りあいたい。ただ、人の好き嫌いが結構はっきりしているから、ウマがあわない人とずっと長く働くことになってしまったら、結構キツイかも…。

小さな会社向きなのはこんな人
 信頼できる人たちや、気のあいそうなスタッフと、ずっと長く働いていける環境がいいな。急に新しい人間関係に放りだされたりするのは苦手かも。じっくりと腰を据えて人間関係が築ける環境なら、安心して働けると思う。
なぜ?プロの解説
異動や組織改変に注目

 社員の人数が多いということは、社内にいながらいろいろな人間関係を築けるということ。異動による入れ替わりの可能性もあり、小規模な会社に比べて人間関係が固定されないのが特徴。一時期、気があわない人と働くことになっても、組織改変等で新たな人間関係を見いだせる可能性があります。

キャリアコンサルタント山田朋絵さん
人間関係は入社時に固定

 社員が少なく部署も多くないので異動もあまりなく、大きな会社に比べると同じ人間関係の中で長く仕事をすることになるでしょう。一方で、まわりの人と気があわなかった場合には、他に選択肢が少ないのも事実。入社の前に「自分にあった環境かどうか」おしはかる必要があるかもしれません。





まとめ 自分に無理のない選択を。

 いかがでしたか? 私も大きな組織に転職した当初、接客対応のマナーが社内で統一されていて、ひとつひとつ細かく決まっていることなどにとても驚きました。幸い、私にはルールが細かく固まっている組織が向いていましたが、そうでなければこの変化が大きなストレスになった可能性もあります。末長く働く、活き活きと活躍するには、自分に無理のない環境であることが一番。そこで働く自分をイメージしながら、会社選びをしてみてください。

編集後記
 「大きな会社なら安定していそう」「小さな会社だとアットホームで安心かもしれない」など、会社の規模を安易にイメージでとらえてしまうと、入社してから思わぬ落とし穴がありそうです。大切なのは自分にあった働き方が実現できるかどうか。山田さんのアドバイスを参考にしてみてください。

おすすめコンテンツ