人材不足店舗へ新戦力!72歳スタッフのマンパワーとは?

少子高齢化社会が到来した現在、労働人口の急速な減少が、大きな社会問題としてクローズアップされています。そんな状況のなか、「次代の労働力」として多くの業界で期待を集めているのが、これまでは「リタイア世代」とされてきた60代以上の高齢者層です。2017年に総務省統計局がまとめた「年齢階級別労働力人口の推移」によると、2016年における65歳以上の労働力人口は、2006年からおよそ5割増の783万人。アルバイトも含むこの数字は、社会全体でシニア層の活躍が広がっていることを示しているといえるでしょう。今回は、そんなシニアアルバイトを採用するためのポイントやメリット、そこで働く高齢者の思いなどについて、さまざまな介護サービスを展開する株式会社ケア21のマネージャー 阿世知直樹さんと、シニアスタッフ 奥山千鶴子さんにうかがいました。

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担当者に聞く、シニアアルバイトがもたらすメリットとは?

──ケア21様では、65歳を超える多くのシニアスタッフの方が活躍されているとのことですが、その理由についてお聞かせ下さい。

阿世知:2014年4月になりますが、当社では正社員の定年制度を撤廃しました。高齢者介護サービスを柱とする会社として、「年齢で能力や可能性を判断しない」というのは、当社における基本的なテーマのひとつ。定年制度を撤廃した背景にも、その考えが大きく関わっています。以降、正社員はもちろん、当社では「パートタイム」と呼んでいるアルバイトスタッフ、また非常勤スタッフなどの間でも、65歳以上のシニアスタッフの割合が増加しています。

──なるほど。正社員の定年制度の撤廃で、シニアアルバイトの方も増えているというのは面白いですね。

阿世知:「年齢はあまり関係ない」という意識が、若年層を含むスタッフたちの間に浸透したことが関わっているのではないでしょうか。私自身、シニアアルバイトの方の研修を担当する機会もありますが、「もう働ける職場はないと思っていたけど、ここに出会えてよかった」という声をよく耳にします。「年をとったら引退」という意識が社会全体で根強いなか、いくつになっても気兼ねなく働ける環境は、まだ限られていると感じているシニアの方が多いのかも知れません。

奥山:私はこちらに入社するまで、別の会社で20年以上介護の仕事に携わってきました。自分では年齢を意識することはありませんでしたが、やはり65歳を超えた頃から、「年寄り扱い」ではありませんが、少し肩身の狭さを感じるようになっていました。そんなときに定年制度を撤廃した会社があると知ったときは、心強い気持ちにもなりましたし、「ここで働きたい!」と素直に思いました。

──若年層にはない、シニアアルバイトの魅力とはなんですか?

阿世知:人生における圧倒的な経験値です。奥山さんのように、同じ業界での豊富な経験をお持ちの方はもちろんですが、60代から未経験でスタートされた方の場合も同様です。入所者様への接し方、問題が生じたときの対応力など、さまざまな経験を重ねてきたからこその共感力やコミュニケーション能力に助けられる場面が非常に多いですね。また、シニアの方には、向上心が高い人が多いという印象もあります。新しいことを覚えるのは、正直大変な面もあるとは思いますが、それでもコツコツ取り組みながら、積極的にチャレンジされています。「いくつになっても、成長できる」と感じさせてくれるその姿勢は、若いメンバーにも大きな刺激を与えています。シニアというと、つい経験者と考えがちですが、業種未経験の場合でも、仕事や職場の環境などに柔軟に対応できる可能性は高いと思いますね。

シニアアルバイトが活躍できる職場の理由とは?

──ケア21様で多くのシニアアルバイトの方が活躍できている理由として、まずはどんなことが挙げられますか。

阿世知:シニアアルバイトの方と共に働く中で、周囲のスタッフの認識が少しずつ変わってきたことが、逆にシニアの方の活躍の幅を広げているのだと思います。一緒にバリバリと働いている姿を日々目にしていると、自然と年齢は気にならなくなります。シニアの方側にも、「若い人と一緒にやっていけるだろうか」という不安はありますので、その部分が解消されることで、積極的に経験を活かしたり、新たなことにチャレンジしやすくなるのではないかと思います。

奥山:本当にそうですね。自分では年齢は気にしないといっても、一緒に働く周囲の人に受け入れてもらえるかどうか、現場に入るまでずっと不安はありました。まだまだやれると思っている人は、今のシニア世代には多いと思うのですが、「シニア世代がいたら、若い人が嫌がるのでは?」という先入観がブレーキになり、一歩を踏み出せない場合も多いのではないかと思います。

阿世知:もちろん、シニアアルバイトの方にも「向き」「不向き」はあります。分かりやすいのは、やはり体力の面でしょう。若々しい方が増えているのでつい見落としがちですが、加齢による体力の衰えは若い世代と比べるとやはり否めません。例えば、重い荷物を運ぶような仕事が難しくなってきた方などは、若手スタッフにサポートしていただいたり、お互いに協力していく必要があります。また豊富な経験があるからこそ、それにこだわりすぎ、職場のやり方など柔軟に対応するのが難しい方もいると思います。楽観的に臨機応変な対応ができる適性を見極めていくことも、シニアの力を十分に活用する上では非常に大切です。

奥山:最近はパソコンやスマホなどに詳しいシニアの方も増えていると聞きますが、私の場合は、機械が大の苦手。勉強しようと心がけてはいますが、若い頃のようにすぐ覚えるのは難しく、何度も同じ箇所で悩むことも少なくありません。そんな時は、やはり周囲にいる若いスタッフに助けてもらっています。みんな嫌な顔もせず手伝ってくれるのが申し訳ない反面、非常に心強いですね。

阿世知:一人ひとりに得手不得手があるのは、シニアに限った話ではありません。いわば個性のようなものでしょう。先にも述べましたが、シニアの方には、シニアの方にしかない強みがありますし、若い方よりも意欲的で向上心のある方が多くいます。先入観から特別扱いをするのではなく、それぞれの強みや適性を理解した上で、最適な役割の中で活躍していただく工夫は必要ですね。

シニアアルバイトを迎える上で、抑えておくべきポイントは?

──これからシニアアルバイトを採用したいと考えている会社や職場側が押さえておくべきポイントはありますか?

阿世知:元気に見えても、高齢になると思わぬ健康上のトラブルに見舞われてしまうこともあります。万が一を考え、緊急時の対応などについて考えておくのは大切です。職場の近くの病院などは事前に調べておいて、何かあった場合には、すぐ対応できるようにしておきたいですね。
また、シニアアルバイトの方の中には、働くことを通じてやりがいを得たいと考えている方も多いため、ともすれば頑張りすぎる傾向もあるような気がします。結果、勤務日数が多かったり勤務時間が長くなると、体力的な負担ももちろん心配ですが収入の額が大きくなりすぎ、本来支給されるべき年金が大幅に減るという問題が生じる可能性もあります。その点については、本人の希望や状況なども把握した上で、職場側でもしっかりと労務管理することが必要でしょう。

奥山:働く側の立場から言わせていただけば、周囲の方からの理解を含め、職場の受け入れ体制を整えていただけるとありがたいですね。とくに、これからシニアアルバイトを募集される企業の場合には、入ってみたら、周りに同年代のスタッフが全くいないという場合もあると思いますので、その点でのサポートなども大切ではないかと思います。

阿世知:この点においては、事前にスタッフの方に対してシニアアルバイトを迎える意義や、そのメリットなどについてしっかりアナウンスしておくと、シニアアルバイトの方もより馴染みやすくなると思います。シニアの方の力を活用することが当たり前となる時代がくるという認識を共有することが、若手や中堅、シニアなどすべての方が活躍できる環境づくりにもつながるはずです。

まとめ

●シニア採用のメリット
・シニア層には意欲的で向上心のある方が多く、新しいことにチャレンジしていく姿に若年スタッフが刺激を受け、メンバー全員の成長が促進される
・業界経験のあるなしに関わらず、豊富な人生経験による高い共感能力やコミュニケーション能力での対応力が期待できる

●シニア採用を行う上で企業側が整えるべき体制
・定年制撤廃など、「いつまでも活躍できる」「年齢はあまり関係ない」という企業文化の醸成
・シニアスタッフ受け入れのメリットをメンバー間にも共有し、同僚たちの理解と新しい業務やツールを教えるなど、受け入れ態勢を整える
・体力と勤務時間、収入と年金のバランスなど、労務管理上での配慮

年齢に関わりなく活躍できる”という会社全体としての取り組みとともに、シニアの方を迎え入れる体制を整えることが、シニア採用の重要なポイントになるようです。

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