「時給派」「雰囲気派」 2つのタイプから、アルバイトの定着・退職防止を考える

「あの~、来月で辞めたいんですど…」、突然のアルバイトさんのそんな一言に、ドキっとしたことはありませんか? ここ最近の人手不足感の中、「できる限り長く働いて欲しい!」という採用担当者の方も多く、その対策に苦慮されている方も多いはず。

前回の「an report」“データで知る。現場を悩ますアルバイト不足の背景とは?”では、各種データの側面から採用難は継続するという予測をご紹介し、人材確保のためには、その入口となる採用の重要さだけでなく、出口となってしまうの定着や退職防止の重要さにも触れました。

そこで今回は、パーソル総合研究所の調査を参考にし、アルバイトスタッフが仕事探しや継続勤務時に重要とするポイントから「時給派」「雰囲気派」の2つのタイプに分け、その定着や退職防止について、傾向や対策をご紹介をしたいと思います。

採用担当者目線で、アルバイトを2つのタイプに分ける

2016年1~2月にかけて行われたパーソル総合研究所が、外食・小売・運輸業の大手7企業の協力を得て行った調査によると、企業や店舗の採用担当者の多くが「時給の高さ」「雰囲気の良さ」の求人を出す際にアピールするポイントとして意識しているため、その2つのポイントをタイプ分けの基準として用い、時給の高さを重視する「時給派」、雰囲気の良さを重視する「雰囲気派」のアルバイト層がどの程度いるのかを分類したのが、以下のデータです。

※1. 時給派と雰囲気派の定義(記事下部に記載)

  • 男女ともに約4割前後が、「時給派」「雰囲気派」いずれかに該当する
  • その4割のうち、男性は「時給派」「雰囲気派」が半々、女性は「雰囲気派」がやや多い

また、「時給派」「雰囲気派」それぞれの属性別構成比を見ると、

  • 学生は「時給派」、主婦は「雰囲気派」の割合が多い

という傾向が見て取れました。

タイプ別に「働き続ける理由」「辞める理由」は違う

そのタイプ別に職場で半年以上働き続けた理由を聞いた結果をタイプ別に見ると…

■就業継続理由(時給派vs雰囲気派)

  • 時給派/やはり「時給が高い」から、などシンプル
  • 雰囲気派/人間関係の良好さを示す複数要因が理由となっており、時給派に比べると多様

といった傾向が出たと同時に、仕事内容について、

  • 時給派/仕事内容が変わらない事
  • 雰囲気派/仕事内容に変化があり、飽きが来ない事

という正反対の興味深い結果となりました。

それと関連するような結果が出ているのが、下記の離職理由で、

■離職理由(時給派vs雰囲気派)

  • 時給派/思っていたより「仕事の量が多かった」「覚えることが多かった」が上位
  • 雰囲気派/「褒められない」「仲良しメンバーが辞めた」「新しい上司と合わない」など人間関係が上位

という結果が出ました。

そのため、時給派には「仕事内容や量の変化」、雰囲気派には「退職・入社・異動など人間関係の変化」のタイミングで、離職意向が高まる可能性があるため、表情を見ながら「不満や困っている事を聞く」など細かなケアが必要になってくるでしょう。

「あの人は何派?」に答えられますか?

一方、ここで重要になってくるのは「あの人は何派?」(=あの人は何を大事に思って働いているのか?)という質問に、店長や経営者など事業者側が答えられるかどうか、ということではないでしょうか?
「相手が何を大切にして働いているのか」を知っていれば、日常の変化に応じ、退職をケアする対策も打てますが、そうでなければ、意識的に対策することは難しいでしょう。
「アルバイトの人数が多くて…」「社員同士のコミュニケーションがメインで…」など様々理由はあると思いますが、日常的にアルバイトスタッフと良い人間関係を築く工夫の大切さは、2017年6月公開の”  アルバイトがすぐに辞めてしまう…定着率を上げるための3つの方法”においてもご紹介の通り、大変重要です。

「面接は他の人に任せちゃったから、あの子の事よく知らないな」「異動したばかりで、全然人柄が分からない…」という方は、ぜひ、日常の休憩時間や勤務終了後の隙間時間などに、「○○さんって、何がきっかけでウチのお店で働き始めたの?」「ずっと続けられている理由って何かな?」など、アルバイトさん1人1人の思いを知るきっかけ作りをされてはいかがでしょうか?

まとめ

今回は、「2つのタイプ」の観点から、定着や退職防止にについてご紹介しました。

それぞれの重視ポイントからアルバイト層を「時給派」「雰囲気派」に分けると、

  • 男女ともに約4割前後が、「時給派」「雰囲気派」いずれかに該当する
  • その4割のうち、男性は比率が半々、女性は「雰囲気派」がやや多い

などの傾向がみられ、

  • 「働き続ける理由」「辞める理由」はタイプ別にそれぞれ異なる
  • そのため、「時給派」仕事内容や量の変化、「雰囲気派」退職・入社・異動など人間関係の変化

のタイミングでケアが必要、といった退職防止策についても触れました。

一方、冒頭のデータにもあった通り、時給派・雰囲気派と分類できるアルバイト層は多いと言っても約4割です。その4割の方には本稿を参考にしながら、日常のコミュニケーションや退職防止のケアをしつつも、その他の6割の方には、またそれぞれの大事にしているポイントがあるはずです。
日常の人間関係を向上させ、1人1人それぞれの思いや大切にしている仕事のポイントを知り、日頃のコミュニケーションやケアに活かすということが、いま退職防止策を行う上で求められている事なのかも知れません。本稿が今後の参考になれば幸いです。

次回は同じ退職防止でも、1か月も経たずに辞めてしまう「早期退職」について、触れていきたいと思います。
*photo / photo-ac.com

【出典】
パーソルグループ×東京大学中原淳研究室共同研究「アルバイト・パート成長創造プロジェクト」(2016)
「一般求職者調査/離職者調査」
http://rc.persol-group.co.jp/research/data/hitodata_007

※1. 時給派と雰囲気派の定義について

【時給派】
・「一般求職者調査」で、「あなたが仕事を探す上で重要視することは何ですか」という複数回答の設問に対し、「時給が高かった」を選択し、「職場の雰囲気がよさそうだった」を選択しなかった人。
・「離職者調査」で、「(勤務経験があり、今は辞めたアルバイト先に)応募した理由について、当てはまるものをいくつでもお選びください」という複数回答の設問に対し、「時給が高かった」を選択し、「職場の雰囲気がよさそうだった」を選択しなかった人。
【雰囲気派】
・「一般求職者調査」で、「あなたが仕事を探す上で重要視することは何ですか」という複数回答の設問に対し、「職場の雰囲気がよさそうだった」を選択し、「時給が高かった」を選択しなかった人。
・「離職者調査」で、「(勤務経験があり、今は辞めたアルバイト先に)応募した理由について、当てはまるものをいくつでもお選びください」という複数回答の設問に対し、「職場の雰囲気がよさそうだった」を選択し、「時給が高かった」を選択しなかった人。

 

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