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大学生をもっと有効活用するには?

 夏休み中の短期バイトに加え、秋以降の長期バイトを探す大学生も増え出す8月。企業側としては、大学生を採用するチャンスといえる。秋以降になると3年生は就職活動で忙しくなり、4年生は卒業・就職を前にアルバイトを辞めてしまう時期に差しかかるため、今のうちに良い人材を確保しておきたい。
 そこで意識したいのが、学年ごとの仕事観だ。学生から社会人へと向かう大学生は、学年を追うごとに状況や心境が大きく変化する。今回は、その実態を踏まえたうえで大学生の有効な採用・育成方法を探りたい。

今月のポイント
  • 働くことに対する意識について学年別の違いをあらかじめ認識しておくことが重要。
  • 1年生は、やる気を満たす言葉がけや表現を心がける。
  • 2年生は、「短期で、効率的に」と実利をアピール。
  • 3年生は、就職活動などを通して将来を真剣に考え始めるため、スキルや社会人マナーが習得できるなど就職に役立ちそうなポイントを伝える。
調査概要
■グラフ1、グラフ2
・調査名:2011年4月求職意識行動調査
・調査期間:2011年4月26日~5月2日
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査対象:北海道、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知)、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀)、九州(福岡)在住 かつ 1年以内に非正規雇用に就業した15-34歳の男女
・サンプル数:7,504名

■グラフ3
・調査名:就職活動に関する調査
・調査期間:2011年6月3日~9日
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査対象:全国の就職活動経験のある22~27歳までの男女で、下記条件をすべて満たす者
(2010年度大学卒業/2011年4~5月新卒入社者、もしくは2011年6月新卒入社予定者)
・サンプル数:1,192名
1.1.就業意識の学年比較

やる気のある1年生、「やりたいこと」を探している3年生

 大学生は、仕事に対してどのような意識を持っているのか。2011年4月に実施した求職意識行動調査で、大学生1年生から4年生に仕事探しや働き方について質問したところ(複数回答可)、どの学年においても「仕事を通じてお金以外のものも得られると思う」という回答が最も多かった。対して、それ以外の項目では、学年ごとに意識の違いが浮き彫りになった。

 1年生では「仕事を通して自分の目標や夢を実現させたい」「夢実現のために、今がんばっていることがある」が他の学年より高い。入学したばかりで大学生活にやる気を持っており、アルバイトに対しての期待値も高いことがうかがえる。

 一方、3年生になると「将来に不安を感じる」「『やりたいこと』や『向いていること』を現在探している」などの数値が高くなる。こうした将来への不安感や自己分析的な回答について、4年生では回答割合が低くなっていることから、3年生が最も就職を意識し、自分の将来に結びつけて考えていることがわかる。

 また、全体的には低い回答率ではあるものの、「同時に2つ以上の仕事をかけもつことが多い」が多かったのも3年生だ。自分の適職を見つけるために、アルバイトでいろいろ挑戦しておこうと考え、実践している学生も他の学年に比べると多いようだ。

 このように、ひとくくりに大学生と言っても、学年ごとに働くことへの意識は異なる。学年ごとの仕事観に応じた採用・育成方法を工夫することで、よりマッチした人材採用や定着が期待できるのではないだろうか。

 では次に、その工夫のヒントとなるデータを紹介しよう。

グラフ1.就業意識の学年比較
2.学年によって異なる「仕事探しのきっかけ」

2年生は効率、3年生は就職に役立つメリットを求める

 仕事観の違いは、仕事探しのきっかけにも表れている(グラフ2)。

 1年生は「働くことにあこがれていたので」が他の学年より多い。昨年まで高校生で、働くこと自体が初めての学生も多いためか、仕事へのやる気に満ちている。うまく育成すれば、定着して4年間働いてくれる可能性も高く、先行投資の価値は高い。

 1年生を採用するなら、「初心者でも大丈夫」といった原稿表現や声がけで心理的なハードルを下げることがポイントだ。

 ただし、プロに聞け4/18号にもあるように、アルバイト経験が少ない人の場合、「あこがれ」のイメージが強すぎて、実態との落差に失望して辞めてしまうリスクも高い。そのため、面接では仕事に対してどういうイメージやあこがれを抱いているのかをしっかりヒアリングし、働き始めてから彼らが現実とのギャップに悩んだりしないようにしておきたい。

 2年生の場合、「交際費が欲しかったので」の項目が他の学年より多いのが特徴だ。大学生活にも慣れて交友関係が広がったり、サークルや部活動などが盛んになったりするためか、交際費を稼ごうと考える学生が多いようだ。加えて、「仕事探しのきっかけ」として「時間を有効に使いたかったので」も他の学年より高いことから、シフトの柔軟性や短時間で効率的に働けることをメリットに感じやすいと考えられる。

 これらのことから、2年生には「長期休暇前に、サークル合宿のための費用を短期で稼ごう」など、動機づけになりやすい用途と効率性を伝える原稿の工夫が効果的だろう。

 3年生では、「前の仕事に不満があったので」「もっとよい条件の仕事につきたかったので」「いろんな仕事をしてみたかったので」が他の学年より高く、仕事経験が増え、相場観ができてきたからか“他の仕事”を求める意向が強いことが明らかになった。3年生は、アルバイト経験があるケースも多く、採用側としては即戦力として採用しやすいターゲットといえる。一方で、すでに3年生を雇っている場合は、これまで時間をかけて育ててきた戦力を失わないための工夫が必要だろう。

 こうした3年生の採用・引き留めにおける工夫を考える際に、参考にしたいデータがある。今年入社の新入社員を対象に行った調査結果だ(グラフ3)。今年入社の新入社員に、学生時代のアルバイトが就職に役立ったかを質問したところ、約70%以上が役立ったと回答している。

 グラフ1の調査結果からも明らかなように、3年生は就職活動を前にして将来を真剣に考えている時期でもある。「アルバイトでの経験が何かしら将来に役立てば」といった視点を持ちながら、アルバイト先を探す学生も出てくるようだ。

 そのため、「コミュニケーションスキルやサービス力が身につく」「業界経験が積める」「敬語が正しく使えるようになる」「社会人としてのマナーが習得できる」といった、就職に役立ちそうな具体的なメリットを打ち出すことが、採用や引き留めの有効な手段となりそうだ。仕事とは直結しなくても、気軽に将来の相談が社員にできる、そんなコミュニケーションがとりやすい環境を用意するのも、3年生に定着してもらい、活躍してもらう効果的な策ではないだろうか。

グラフ2.学年によって異なる「仕事探しのきっかけ」グラフ3.アルバイトは就職活動に役立つと思う?
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出力しやすいA4サイズですので、ぜひご活用ください。

vol.46 : PDFダウンロード

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