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「前給」制度は人材確保のフックとなるのか? – 株式会社コロワイド × 株式会社東京都民銀行

 人材確保が難しくなる中、「プロに聞け」1月10日号で制度整備の重要性を指摘した。そこで今回は、東京都民銀行が2005年からサービス提供を開始した「前給」という制度に着目。東京都民銀行 前給事業部の野付駿介さんと、サービス開始当初から「前給」を導入しているコロワイド グループ戦略本部の中﨑諭さんに、「前給」について対談していただいた。果たして「前給制度」は、人材確保の有効な一手となり得るのだろうか。

【対談者】

株式会社コロワイド

  • グループ戦略本部 人事部 次長 中﨑諭さん
事業概要:
「甘太郎」「La Pausa」など多様なジャンルで居酒屋・レストランを展開するほか、カラオケチェーンの運営、食品製造・販売、水産物の加工・卸売、飲食店メニューオーダーシステム開発・販売などを行う。
http://www.colowide.co.jp/

株式会社東京都民銀行

  • 前給事業部 野付 駿介さん
事業概要:
首都圏を中心に金融サービスを展開。2005年6月に「前給」で、ビジネスモデル特許(特許第3685788号)を取得。同制度は現在、約36万人が登録している。
http://www.tominbank.co.jp/
※役職名は取材当時のものです。

01.自分が働いた分の給与から給料日前にお金を引き出せる「前給」

まずは野付さん、「前給」がどのような制度なのか、ご説明いただけますでしょうか。

東京都民銀行/野付さん 「前給」は、パート・アルバイトの方が、給料日前に働いた範囲内でお金を受け取れるサービスです。携帯電話やパソコンから申し込めば、早ければ翌日に給与受取口座に希望額が振り込まれます。申込受付から振込までの作業は、当行のシステムで行われるようになっています。

そもそもこの制度が誕生したきっかけは何だったのでしょう?
株式会社東京都民銀行 前給事業部 野付駿介さん
株式会社東京都民銀行 前給事業部
野付駿介さん

東京都民銀行/野付さん 例えば、大学生が夏休みにアルバイトをするのは、その夏に遊ぶお金を稼ぐためであることが多い(※)。にもかかわらず、8月に働いても給料が入るのは翌月の25日で、入用の時に肝心の現金が手元にないわけです。そこで、1カ月に1回支払われる給料を何度か分散して受け取ることができたら、こうしたニーズに応えられるのではないかと考えたのです。実際、市場調査をしてみると、「必要な時に必要な額の給料をもらいたい」というニーズが意外に多いことがわかってきました。
 ※関連した調査データはこちら

コロワイド/中﨑さん 私たちも、年に何回かは急にお金が入用になる時がありますからね。

東京都民銀行/野付さん ええ。今月は友人の結婚式が重なってお祝儀の分が足りないとか、あるいは単純に給料日の直前でお小遣いが底をついたとか…。コンスタントに働いている人でも、1度はそういう“ピンチ”を経験している人が多いのです。そこで、アルバイト・パートさん向けに、すでに働いた分の給与から一部を前渡しするような制度を作ったらどうか、ということで誕生したサービスが「前給」です。私どもでは、このサービスを2005年度から提供しています。

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02.導入理由は採用時のフックと福利厚生のため

コロワイドさんは、「前給」制度が誕生した直後に導入されていますね。

コロワイド/中﨑さん 導入理由は主に2つあります。1つは、求人募集の際、求職者から見て大きな魅力になると考えたからです。外食産業では、アルバイトを非常に採用しづらい状況が続いています。そうした中で、この制度が弊社ならではの付加価値として認知されれば、人材確保にも有効だと考えました。

 もう1つは、アルバイトへの福利厚生の一環としてです。「急にお金が必要になっても、この会社には給料の一部を前渡ししてくれるシステムがある」という安心感や会社へのロイヤリティにつながる制度だととらえ導入しました。それに雇用する側として、知らないところで従業員が借金するような状況にせず、会社がきちんと把握することはとても重要だと考えました。

東京都民銀行/野付さん 導入に際し、戸惑ったことなどはありましたか?

コロワイド/中﨑さん 弊社は、20歳から60歳くらいまで幅広い年齢の方が2万人ほど働いておられるのですが、その方たち全員にどういう制度なのかを理解してもらうための説明部分が大変でした。私が説明に全店をまわるわけにはいかないので、店長クラスの方々にまず理解してもらうことから始めました。その上で、アルバイト本人には、店長から採用段階で「前給」の利点や使い方を説明してもらうのです。

東京都民銀行/野付さん コロワイドさんは、北海道から関西まで広範囲に店舗を展開されています。「前給」を導入していただいた直後は、私どもも全国各地の店長会議に参加し、店長様への説明会を実施させていただきました。

株式会社コロワイド グループ戦略本部総務部 次長 中﨑諭さん
株式会社コロワイド グループ戦略本部人事部
次長 中﨑諭さん

コロワイド/中﨑さん 非常に助かりました。東京都民銀行さんが用意してくださっているマニュアルも、大変役立っています。雇用契約書の裏にも必要事項を載せているので、店長がマニュアルを見ながら順番通りに説明して必要事項の記入を進めれば、大方のアルバイトはすぐに制度の内容や使い方を理解してくれているようです。時々、説明することを通して「前給」を知った店長からも、「私もこの制度を利用したい」と言われることがあります。弊社では社員は利用できない制度なので諦めてもらいますが…(笑)。臨機応変にお金を使いたいのは、何も学生に限ったことではなくみんな同じなんですね。

東京都民銀行/野付さん 残念ながら、コロワイドさんではアルバイトの方が対象で、社員の方にはご利用いただけない制度ですからね(笑)。最近では、コストのかからない福利厚生制度として社員向けに導入する企業様が増えているんですよ。

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03.企業ごとに「前給ナビ」を設置。携帯・パソコンから利用OK

マニュアルは、どのようなものなのですか?

東京都民銀行/野付さん まず1つは、冊子スタイルの紙のマニュアルをご用意しています。ただ、学生をはじめ若い人は紙媒体よりパソコンや携帯のほうが馴染みがあるので、WEBサイトでもチェックできるようにしています。「前給」制度を導入していただいている企業様ごとに専用の「前給ナビ」というWEBサイトを設け、アルバイトの方が携帯やパソコンからアクセスすれば「前給」の内容がわかるようになっています。

「前給」の登録状況はいかがですか?

コロワイド/中﨑さん 今は全アルバイトの約5割の1万人ほどが登録しています。大半が大学生です。利用率も大学生は高い。やはり休暇中のレジャーなどにすぐに使えるお金が欲しいからでしょうかね。

東京都民銀行/野付さん 確かに「前給」は学生の利用が活発な傾向がありますが、携帯からも手軽に利用できることから、最近は徐々に主婦層をはじめ幅広い層の利用率も伸びています。

だいたいどれくらいの頻度で、いくらぐらい利用しているものなのですか?

東京都民銀行/野付さん 1万5000円程度の額を月2~3回、「前給」を利用する人が大半ですね。ちょっとだけ埋め合わせる、“ちょい埋め”といった感覚のニーズが高いようです。

 前給システムでは、
(1)1カ月に利用できる限度額
(2)労働実績に対する前給の利用可能率
(3)1カ月の利用回数
などの制限を、企業様ごとに設定できるようになっています。そのため、利用者にも導入企業にも、安心して活用いただけるのです。

コロワイド/中﨑さん 弊社のアルバイトには、とりあえず登録だけしておいて、万一何かあったら使おうと考えている人も多いようです。また、比較的頻繁に利用する人でも、1回使ってみれば使い方や手数料などが実感として分かるので、うまく用途に合わせて計画的に使っておられるようですね。

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04.人材確保・定着率アップにつながる付加価値

「前給」に対し、具体的にどんなメリットを感じていますか?

コロワイド/中﨑さん うちはアルバイトの求人原稿で「前給制度あります」ときっちり打ち出しています。それに惹かれて応募してくる人は実際、結構多いです。「前給って何ですか?」「前給を利用したいんですが…」といった問い合わせが1カ月50件~60件ほどの頻度で掛かってくるなど、求人のフックになっているのは確かです。

東京都民銀行/野付さん ありがとうございます。定着率はどうでしょう?

コロワイド/中﨑さん 学生アルバイトの場合、入れ替わりのタイミングが必ずあるので、「前給」だけでは測れないところがあります。ただ、長期間働く人や長時間働く人の定着率は、確実に増えている印象がありますね。

東京都民銀行/野付さん 学生の場合、「急にお金が要る」となると、(シフト制で長期間続けているような)いつものアルバイトを休んで、日払いのバイトを急きょ入れるケースもあるようです。でも「前給」があれば、わざわざ日払いバイトを入れる必要はありません。そういう意味で、安定したシフト運用にも貢献する制度であると思っています。

コロワイド/中﨑さん 確かに急に休まれるとシフトを再調整しなければなりませんから、その手間が少しでも減るのはありがたいことです。

現在どれくらいの人が「前給」を利用しているのですか?

東京都民銀行/野付さん 登録者数は現在、約36万人です。特に飲食業のアルバイトの方が多いです。飲食業の場合、人件費もコストとしてとらえ、勤怠管理を徹底されており、「前給」導入に必要なデータ面のインフラ環境がすでに整っているところが多いので、導入していただきやすいという側面があります。

 また、派遣会社や運送業などで、これまで日払いや週払いをしていた企業様が「前給」を導入し、月払いのシステムに変更されるケースも増えています。日本の税金や社会保険などの手続きは月ごとに発生するものが多く、日払い・週払いだと給与計算処理も煩雑です。これらの業務の効率化を図りつつ、日払いを求めるアルバイトのニーズにも応えるため、「前給」を使い始めるケースが増えているようです。

利用の背景や範囲が広がっているのですね。
このチラシはQRコードを携帯で読み込むと、携帯サイトで「前給」の使い方を読むことができるもの。ここから登録も可能。
このチラシはQRコードを携帯で読み込むと、
携帯サイトで「前給」の使い方を読むことが
できるもの。

東京都民銀行/野付さん そうですね。今後は、現在の登録者数36万人をマーケットととらえ、一方の企業の福利厚生が他方の企業のビジネスにつながるようにするなど、新たな展開も考えているところです。


コロワイド/中﨑さん 「前給」を進化させ、さらなる有効活用を考えていただいているわけですね。

 私どもとしてはアルバイトの方々に、弊社へのロイヤリティを高めてもらって、長く働いてもらえるよう様々な努力を試みています。採用が困難な今、「前給」は重要な制度だと実感しています。「前給」を導入する企業が増えすぎると、うちだけの付加価値にならないので、ちょっと困りますが…(笑)。今後の展開も期待しています。



本日は有意義なお話をいろいろお聞かせいただき、ありがとうございました。

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まとめ

 「前給」は、アルバイトにとって非常に魅力的な福利厚生であるようだ。人材募集時に効力を発揮するだけでなく、実際に就業してからも「いざという時に、自分が働いた分の給与の中から引き出せる」という安心感を持ってもらえる。今回の導入事例のお話から、人材確保の際の強みの1つになり得る制度だと言えるのではないか。

※東京都民銀行「前給」サイト http://www.tominbank.co.jp/for_hojin/maekyu/

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