自立型アルバイトを育てる「マニュアル&モチベーション管理」 – 株式会社スポーツワン

掲載企業DATA:株式会社スポーツワン

株式会社スポーツワン

本社所在地 : 東京都世田谷区駒沢1-4-15 真井ビル5F
代表取締役社長 : 武田利也
設立年月日 : 平成13年7月6日
事業内容  : スポーツ関連ウェブサイト・携帯電話サイトの企画・制作・運営。フットサル。バスケットボールなどスポーツイベントの企画・運営など。

INDEX

01 “最初は経験を教える教育だった”

同社で最初に正社員となった松尾佑樹さん。現在は同社スポーツイベントディビジョン マネジャー兼執行役員。

同社で最初に正社員となった松尾佑樹さん。現在は同社スポーツイベントディビジョンマネジャー兼執行役員。

サッカー・フットサル総合サイト「フットワン」をはじめ、様々なスポーツ関連サイトの企画制作・運営と、各種スポーツ大会イベントの企画運営を展開するスポーツワン。特にスポーツイベントは現在年間3000大会ほど実施し、日本最大の大会数、開催会場数を誇る。
事業の柱ともいうべきスポーツイベントを支えているのが、全スタッフの9割を占めるアルバイトだ。登録制で都合の良い日時を選び、フットサル、サッカー、バスケットボール、ランニングなど各種大会の運営・審判スタッフとして活躍する。現在、登録は約300名で、高校生から大学生、他に仕事を持つ社会人、年配の方など幅広い年齢層がイベントスタッフとして働いている。
「1999年に社長の武田がフットサルリーグの事務局を開始し、2001年に会社組織にしたことが当社の始まりです。当初のメインスタッフは私だけで、イベント当日の運営のほか、大会開催のためのコートを押さえるのと、イベントスタッフを集めるので手一杯でした。大会当日の注意事項や運営のしかたはすべて口頭で伝えるだけ。各イベント会場に配置された数人の社員がそれぞれのつながりで集めたアルバイトに対し、自分の経験をもとに指導していました」
そう語るのは同社スポーツイベントディビジョンマネジャー松尾佑樹さんだ。
「しかし、さすがに月100~150本ペースでイベントを開催するようになり、私たち数人の社員だけですべての会場を仕切ることは不可能になってきたのです。そこで、アルバイトだけでもしっかり大会を運営できるよう、マニュアルをつくり、研修も実施するようになりました」

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02 一般スタッフ用、ディレクター用に分けてマニュアル作成

お客様に楽しく気持ちよくイベントに参加してもらうことは、同社にとって基本中の基本である。それを全スタッフが実現できるようにするため、同社では社員たちの経験をもとに、スポーツイベントを運営するために必要な心構えから審判方法、お客様の受付・誘導・大会説明のしかた、会場の設営や撤収、開会式から閉会式までのスケジュール管理法などをきめ細かく記載し、A4二つ折りの冊子にまとめ、マニュアルとしてイベントスタッフ全員に渡すようにした。

約300名のうち、十数名が正社員で残りは全員アルバイト。「アルバイトによって支えてもらっています」と松尾さん。

約300名のうち、十数名が正社員で残りは全員アルバイト。「アルバイトによって支えてもらっています」と松尾さん。

 マニュアルには、開会式で話す文言まで一言一句記載されているほか、急病人やけが人が出た時の対応などスポーツイベントで欠かせない緊急時の行動指針も掲載。救急処置に関しては、全イベントスタッフが定期的に訓練も受けている。
アルバイトは、大きく一般のイベントスタッフとディレクター職とに分かれる。一般スタッフは、大会運営全般に携わる。ディレクターはいわば現場責任者。大勢のスタッフをまとめあげ、大会全体を統率し、成功させるための人材だ。このように求められるスキルが異なるため、マニュアルも一般スタッフ用とディレクター用の2種類、用意している。先述のイベント運営の詳細がまとめられたものは一般スタッフ用、ディレクター用には一般スタッフの管理・指導についても記載されている。
一般にサービス業では、マニュアルが厳密過ぎると、それにスタッフがとらわれすぎて、柔軟性を欠くといった懸念もある。だが同社の場合、この細かいマニュアルのお陰で、スタッフはより柔軟に行動できるようになっているという。
「私も含め、会社を立ち上げた当時のスタッフが実経験に基づき作成したマニュアルなのでとても実践的な内容になっています。ある学生などは、イベント前にマニュアルを隅々まで読み込んできて、当日、初日とは思えないほどスムーズな働きぶりを見せたほどです。ただ、運営スキルや言葉遣いなどの基本部分はマニュアルでカバーできるようにしていますが、それ以上のサービススキルのような部分は現場でディレクターが実践の中で教えていきます。それによって、決してマニュアルに偏ることのない運営が実現していると思います」
なお、現場ではスタッフ専用の携帯サイトを通してリアルタイムに情報共有できるようにしているそうだ。

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03 ディレクターを「熱く」して、後進を育てる

同社の人材育成のポイントは「何よりもまず、ディレクターを熱くすること」と松尾さんは言う。
会社がどんな思いでスポーツイベント事業を展開しているのか、お客様に喜んでもらえる大会内容にしていくため何をすべきかということは、月1回のディレクターズミーティングなど、機会があるごとにディレクターに話す。会社としての考え方がディレクターに浸透すれば、その先の一般スタッフにも必ず伝わると考えているからだ。
「スポーツワンは、お客様の元気と健康のため、気軽にスポーツができる環境の提供を大きな目的としています。その提供者である我々に元気や情熱がなければ、イベントは盛り上がりません。そのことをスタッフにも意識して働いてもらえるよう徹底して努めています。極端な話、このような社風に合わない人は残らないですね」
そのふるいとして機能しているのが、登録直後に行う現場での実地研修である。
「アルバイトには面接後、研修としてイベントに2回出てもらいます。実際にやれるかどうかを試す場なので、賃金もバイト代ではなく、『祝い金』として5000円(2回分)と交通費を支給しています。働く側も雇う側も、実際に働いてみないとわからないことってありますよね。ですから、面接だけで落とすことはほとんどしません」
現場研修をクリアした人は長く勤めてくれるという。早い段階で現場に配置し、ふるいにかけることで、長期スタッフを確保でき、長期的に見て無駄なコストも抑えることができているのだ。

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04 思い切って任せると予想以上の力を発揮する

また同社では、アルバイトが高いモチベーションを持ち、継続して働きたいと思ってくれるよう、各種制度の設置や教育・研修にも注力している。
その一つがキャリアプラン・グレードアップ制度だ。先述の通り、アルバイトのグレードは大きくディレクター、一般スタッフと2つに分かれているが、さらにそれぞれが3段階に分かれ、計6段階のグレードとなっている。実力次第でこのグレードがアップし、比例して時給も上がるシステムである。
「グレードアップは、現場の同僚たちの意見と、社員による現場の『見回り』による評価で決めます。『見回り』は専用のチェックシートで査定します」

年間約3000のイベントを開催。「現場を任せられるアルバイト」の育成が常に大きな課題だという。

年間約3000のイベントを開催。「現場を任せられるアルバイト」の育成が常に大きな課題だという。

 さらに、「少し大変かな」と思うことでも、とにかく任せてしまうのが、スポーツワン流の教育方法だ。
「マニュアルを配布しておきながら矛盾しているようですが、ディレクターには『マニュアルを超えろ』と常に言っています。『自分の判断で動け。あなた独自のイベントにしていい。もちろん、最後の責任は私が持つから』と。一例ですが、ディレクターには企画に自由に使える予算を割り当てています。その予算で、お客様に独自の特別賞を用意するなどサプライズを実行する人もいます。また、この人にここまで任せるのはまだ早いかなと思いつつも、いわゆるムチャブリをして大きな仕事を任せてしまうことも多いです。でも皆、案外、任せると予想以上の力を発揮し、やってのけてしまうんですよね。しかも通常以上に一生懸命になることが多く、そういう時の方がお客様の満足度も高かったりします」
なお、同社のアルバイトを経験した人の成長は著しく、特に大学生は就職もスムーズなケースが多いそうだ。
「優秀な学生を世の中に輩出することは社会貢献にもなるわけで、それはそれで嬉しいです。ただ、せっかく育てた優秀な学生をすべて外に出してしまうのはもったいないという思いと、学生アルバイトのモチベーションをさらにアップさせる目的で、2013年度からの新卒採用は、弊社イベントスタッフとして半年以上勤務したという経験を応募条件にしました。アルバイトの経験が直接就職につながるようにしたのです。どうなるかは未知数ですが、アルバイトの意欲向上と優秀な社員採用の両面で期待しています」
ちなみに若者に人気の同社は、新卒採用の募集をすると毎年、全国から約1万人の応募があるという。採用は2、3名のため、倍率は3000~5000倍となっている。

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05 社内イベントでスタッフのモチベーションをさらにアップ

スポーツワンでは2011年12月末、全スタッフを集めた社内イベントを開催した。目的はスタッフ同士のコミュニケーションの活性化と、モチベーションアップ。全参加者にスーツ、ドレスの着用を徹底させ、会場にもこだわった。スポーツ好きなアルバイトたちのために、サッカー元日本代表の福田正博選手などスポーツ界のプロをゲストに招くほか、同社を「卒業」していくアルバイトへメッセージを送るなど、どの催し物も同社のアルバイトに対する温かさが表れている。特にそれを象徴することになったのが「アワード」だ。同社初の試みとして、過去1年間の働きで優秀とみなされたスタッフを表彰した。

2011年12月に開催された「アワード」の様子。最優秀キャスト賞受賞者(一宮さん)の記念写真。社内ブランディングの一環として、スポーツ界の著名人も招待した。

2011年12月に開催された「アワード」の様子。最優秀キャスト賞受賞者(一宮さん)の記念写真。社内ブランディングの一環として、スポーツ界の著名人も招待した。

 2011年の最優秀キャスト賞に選ばれたのは大学3年生の男子学生。彼は、今回の社内イベントの実行委員の一人でもあった。そのため、発表まで彼には受賞の事実を隠すよう、松尾さん自ら、実行委員が作った当日の進行表や式の内容を一つひとつ裏で書き直したという。
「普段から、お客様を喜ばせるための工夫やサプライズを考えろと言っている私たちが、アルバイトに日頃の感謝の気持ちを込めてサプライズをするのは当然です。そのための労力を惜しんだら、私たちの熱意もそこまでと思われてしまい、ついてきてくれなくなってしまいます」
翌日、その彼から松尾さんにこんなメールが届いたそうだ。
『本当に嬉しかったです。僕は先輩の背中を見て育ってきました。これからは自分の動きを見て、後輩たちが育ってくれるように頑張りたいです』
一時的にアルバイトを雇っているというより、一人の人として育てる意識が強い同社のアルバイト育成。仕事に関するスキルを身につけさせるだけではなく、仕事で得られる喜びのような仕事の本質までアルバイトに教え、伝えようとしている。だからこそ、現場を任せられるアルバイト人材が育っているのではないだろうか。

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【スポーツワンからのお知らせ】

スポーツワンでは、社員間および企業間のコミュニケーションを図る『企業対抗駅伝』や、参加者5万人という世界最大級のフットサルイベント『FUTONE CUP』など、ユニークなイベントを数々実施している。
企業対抗駅伝 http://www.sportsone.jp/ed/
FUTONE CUP http://www.futone.jp/50000/index.html

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