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「モチベーションを上げる社内コンテストがブランド力をも向上させる」 – タリーズコーヒージャパン株式会社

掲載企業DATA:タリーズコーヒージャパン株式会社

本社所在地 〒162-0833 東京都新宿区箪笥町22番地
代表 荻田 築
設立 1998年5月(創業1997年8月)
資本金 37億9千万円(2008年4月1日現在)
事業内容 世界各国より厳選した豆のみを使用した、シアトル発祥のスペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」の展開。
本格的なコーヒーのご提供とともに、本物のスペシャルティコーヒー文化を広めることを理念に事業拡大を行っている。

01.イントロダクション

 企業にとって、スタッフ教育は重要な課題のひとつ。そのため、新規スタッフのための教育プログラム設計、業務マニュアルの整備などに多くの企業が取り組んでいる。こうした取組みを行ううえで、もっとも期待する効果はスタッフ自らがスキルアップを目指すような状態をキープすることではないだろうか。
 タリーズコーヒージャパン株式会社(以下、タリーズコーヒー)では、教育プログラムの一環として“タリーズコーヒー バリスタコンテスト”という社内イベントを毎年開催。社員・アルバイトのモチベーションを高く保つことに役立てている。

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02.タリーズコーヒーによる全国規模の社内コンテストの概要とは?

 10月3日に、開催された“第9回 タリーズコーヒー バリスタコンテスト2008”について、トレーニングオペレーションチーム・グループ長の田所義隆氏に概要をうかがってみました。
 「全国15地区から約6000人が参加した予選を勝ち抜いた地区代表を一同に集め、バリスタスキル、テイスティング、コーヒー知識、ホスピタリティ(おもてなしの心)など、タリーズコーヒーにふさわしいバリスタとして要求される技術について競い合いました。今年で9回目を迎えたのですが、毎回、結果が発表されると会場が感動に包まれるんですね。それというのも、やはりこの舞台にたどりつくまでには相当な努力が必要ですし、同じ店舗で働いている他のフェロー(タリーズコーヒーの従業員の呼称)の協力も不可欠。そんな想いにあふれているので、勝っても涙、負けても涙というシーンにつながり、いまやこの全国大会に出場するのを目標にしているアルバイトフェローの方もかなり多いんです」

 しかし、このイベントを始めた当初は全国大会に出場することに集中して、イベントが終われば元に戻ってしまう状態も見られた。
 「でも、それではもったいないと感じたんです。我々としては、このイベントを一過性のものにはしたくない。せっかくのコンテストですから、何とか日々のトレーニングとつなげなかったんです。そこで、各店舗には、代表を決めるための予選会を開くようにしてもらいました。全国大会は、出場したいフェローだけのものではなく、全員に参加してほしい。そのほうがきっと意義深いものになって、たとえ全国大会には出場できなくても、そのなかで積み重ねた努力や培ったチームワークが店舗運営のプラスになると考えたのです」

 また、普段、店舗で働いているという当たり前のことが、コンテストにつながるんだという意識を徹底させるため、大会で採点した審査用紙は、出場したフェローに渡すことにしている。
  「自分のどこが良くて、どこが足りなかったのかを把握することが大切なんです。そして、改善するべき部分を自分の店舗に持ち帰って、明日からのトレーニングに生かしてほしいと考えています」

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03.コンテストの狙いはモチベーションだけにとどまらない

タリーズコーヒージャパン株式会社
営業本部 トレーニンググループ グループ長
田所 義隆氏

 そもそも、このコンテストを始めたのは各個人や店舗のモチベーションアップが目的だったというが、その狙いは果たされているようだ。
 「店舗内のフェローのまとまりは、間違いなく表れてきています。その象徴として、コンテストで入賞した店舗のなかには、表彰状を店内に飾っているところも多いんです」

 そして、現在はモチベーションアップにプラスして、おいしいコーヒーを淹れるための技術や接客など、コーヒーショップとしてのブランド力を向上させることも目的のひとつに含んでいる。
 「技術というのは常に研鑽しなくてはならないものだと思うんです。だから、このコンテストは2年、3年と経験を積んでベテランに対してマニュアルという原点を再確認する良い機会になっています。実際、地区大会で入賞するフェローはかなり高い技術を持っていますし、優勝者が出たエリアなどは如実にレベルが上がりますね。優勝した店舗はチャンピオンとして最高のレベルを保つために努力を重ねますし、近くの店舗に勤めるフェローは見学に訪れて勉強したりするので、全体の底上げもされています。最近はお客様からも『さすが全国大会で入賞するだけあって素晴らしい接客でした』というお褒めの言葉をいただくこともありますので、そういった良い影響はお客様にも伝わっているのではないでしょうか」

 それ以外にも、予想していなかった好影響もあった。
「チェーン店は店舗数が増えれば増えるほど、同一水準を保つ努力が不可欠になります。年に1回のこうしたコンテストは味の標準化にも役立っています。また、一昨年まで、予選は直営店とフランチャイズ店を分けていたのですが、昨年からはあえて直営店とフランチャイズ店を混ぜてコンテストを開くようにしました。そして、イベント終了後に懇親会を合同で行ったところ、非常に良い情報交換の場になったんです。特にフランチャイズ店同士や、フランチャイズ店と直営店は、交流する機会がほとんどなかったんですが、コンテストを通じて店舗間の横のつながりが生まれるようになりました。」

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04.バリスタコンテスト優勝者の本音は、いかに?

社員優勝者 中井さん

 それでは、実際にコンテストに参加したフェローは、どのような感想を抱いているのか。ここで、今年から実施された“社員フェローの部”で優勝を果たした、ららぽーと甲子園店の中井秀輔さんにお話をうかがってみました。
「バリスタコンテストは僕にとって憧れの舞台なので、まさか優勝できるとは思っていませんでした。ただ、この舞台に立ちたいと思う強い気持ちと、応援してくださったお客様や仲間がいたからこそ頑張れたのだと思っています」

 中井さんは実は3年前のアルバイト時代にも、同コンテストの“アルバイトフェローの部”で優勝している。そして、副賞のシアトル旅行で本場のコーヒーのおいしさと文化に感動。その後、コーヒーから離れた時期もあったが、タリーズコーヒーにアルバイトとして再入社し、今年から社員となった経歴を持つ。そんな中井さんは、コンテストに参加したことで大切なものを手に入れたようだ。
 「アルバイト時代に優勝したとき、“本当に頑張って努力すれば、必ずなんでもできる”と身を持って実感することができました。その経験を糧に最後まで諦めずにコンテストに挑んだことがこの結果につながったのだと思っています。また、今回のバリスタコンテストに向けて、いつもの営業活動とは別にトレーニングをしました。理想の姿を目指して自分の癖を直したり、足りない点を補ったりしたので、ドリンクがさらにおいしく作れるようになったと思います。でも、そのように技術が上がったのはトレーニングだけではなく、日々の積み重ねがあったからこそなんです。普段の1日1日がいかに大切か分かったことの方が、自分にとってすごくプラスになりました」

 最後にコンテストの審査に追加したい項目がないか尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。
 「バリスタとして日頃どのような心構えでお客様をお迎えしているのか、コーヒーに対する想いや日々自分が心掛けている事を伝えるプレゼンテーションを審査に加えてみても面白いのではないでしょうか。タリーズコーヒーのバリスタは、ドリンクをおいしく作ることだけではなく、おもてなしの心を意識しながら働いていることも知ってもらいたいという気持ちがあります。それに、他店舗のバリスタの想いを知ることはとても刺激になるので、自分自身の成長にもつながるように思います」

 中井さんの言葉はタリーズコーヒーの狙いにピタリと合致する。コンテストを通じて、企業と従業員が同じ意思を持ち二人三脚でゴールを目指している、そんな姿が見て取れる。

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05.モチベーションアップで企業力もアップする

 タリーズコーヒーがコンテストで求めているハードルは決して高いものではないという。
「元々、マニュアルに基づいていますし、審査のポイントも公開しています。だから、それぞれの項目についてどれだけミスせずに仕上げてくるかなんです」

 こうして、上位に入賞した顔ぶれを見ると、技術、接客、味覚、知識がバランス良く備わっているフェローが多い。
「コンテストは目標ではなく、あくまでも手段のひとつであって、最大の目標はお客様においしいコーヒーを提供すること。それを履き違えてはいけません。タリーズコーヒーが考えるコーヒーをおいしく飲むために必要なものは、コーヒーの味はもちろんのこと、働いているフェローのホスピタリティも含まれています。この2つは対になっていて、どちらが欠けてダメなのです」

 コンテストの参加者からは、「出場できて本当に良かった」「とても勉強になった」という言葉を聞くことが多いという。従業員のモチベーションは上から押し付けるものではなく、むしろ近くて密接に関わる横のつながりから生まれてくる。企業ができることは、モチベーションを上げるための機会を演出したり環境を整えることなのかもしれない。

 こうして、従業員のモチベーションを上げるために開催されたバリスタコンテストは、いつの間にか理想の従業員を作り出す打ち出の小槌となった。モチベーションを上げることは会社を強くすることに他ならない。

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