相楽 樹

ITSUKI SAGARA
女優

たくさんのうれしいご縁と
「ふつう」を大切に
あらためて芝居に向き合っていきます

NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で次女役・鞠子を演じた女優・相楽樹。登場するや話題となり、2017年大ブレイク必須と言われる若手女優のひとりに躍り出た。注目を集めたのは、美しさだけでなく、高い演技力。実は、小劇場などに多数出演し、演技の基礎を磨いてきたという。不思議なオーラに包まれた彼女のモットーは意外にも「普通でいたい」。女優・相楽樹の素顔、公開します。

初めてのシゴトは「ど素人」
ロケ弁・ロケバスに集中?

中学3年生のとき、原宿の竹下通りでスカウトを受けたのが芸能界に入ったきっかけです。子どものころは、モーニング娘。にハマっていて、芸能界はかわいい子たちがいっぱいいるキラキラした場所というイメージで、ちょっとだけ憧れている部分がありました。それに加えて、私はもともと好奇心旺盛な性格です。当時、周りに芸能界で活動している友人はいなかったので、誰もやっていないことをしてみたい、新しいことに挑戦したい、という思いで現在の事務所に入ることを決めました。1番最初に決まったシゴトは2010年に放送されたドラマ『熱海の捜査官』です。山崎賢人君や染谷将太君、二階堂ふみちゃんなど、今考えるとすごい若手メンバーが出演するドラマで、初めてお芝居をさせていただきました。でもそのときは、私は素人同然。ロケバスやロケ弁が新鮮だったことや、自分に与えられたセリフをとにかく忘れないように言おうということばかりを考えて、お芝居が楽しいというところには行きつくことはできませんでした。

舞台を重ねて芝居を好きになった
お客さん30人のアトリエも経験

お芝居を続けていきたいなと思い始めたのはその後、舞台に出演するようになってからです。お客さんが30人くらいしか入らない小さなアトリエや小劇場にも出演してお芝居について学んでいきました。小劇場って、演出家さんだけでなくキャスト同士でもディスカッションしながらお互いの芝居について話し合うんですよ。私は「セリフのキャッチボールができていない」というダメ出しを何度も受けた時期がありました。舞台は稽古を重ねていくうちにセリフを「音」で覚えてしまい、それらしい返事ができちゃうようになったりする落とし穴があるんです。でも本番中にお客さんにウソがばれてしまってはいけません。セリフのキャッチボールという課題を克服するために、セリフの覚えかたを工夫したり、集中力の保ちかたを変えてみたり、四苦八苦しました。そのほかにも、少しずつ課題をクリアしていく感覚が持てると、同時にお芝居が好きなんだという気持ちも大きくなっていきました。

朝ドラで過ごした10ヶ月
小橋家は本当の家族のよう

『とと姉ちゃん』に出演し、10ヶ月もの間、同じ役を演じられたこと、先輩の役者さんの演技を間近で見ることができたのは、私にとってとても貴重な時間となりました。朝ドラは、放送時間は1日たった15分ですが、役者さん、スタッフさんたちがどれだけ大変な思いをしながら制作しているのか、ということがとてもよくわかりました。私は舞台の経験から、ダメな部分は稽古を重ねて改善したり、ひとりで考える時間があるという芝居のつくりかたに慣れていました。でも、朝ドラはどんどん新しい台本ができ上がってきて、役者さんたちには瞬発力も求められます。瞬発力が試されるそんな中でも、大御所の先輩たちが繊細な演技をされていく過程はとても印象に残っています。いつかこんな風になれたらいいな、と思ったのは、唐沢寿明さんのドラマに対しての向き合いかたです。ご自身の演技に対して大変ストイックなのはもちろんのこと、作品全体のことを考えながら芝居に取り組んでいることがひしひしと伝わってきました。唐沢さんが、アドリブをたくさん入れるというのは、いろんなメディアで話題になっていましたが、ただ自分がやりたいからされるのではなく、私たちのリアクションを活かすため。台本を端から端まで何度も読み込んで作品全体をよくしていこうという姿勢は、近くにいてとても学びになりました。そして、なんといっても小橋家のみんなと、本当の家族のように親しくなれたことも私にとっての宝です。不思議なことなのですが、私が演じた鞠子がおばあちゃんになったときの演技が、スタッフさんやドラマを見てくださったかたから、木村多江さん演じる「かか」にソックリだねとよく言われました。私自身は多江さんの演技に寄せようと考えていたわけではありませんが、鞠子は三姉妹の中でも、特にかかに似てくる子なんだろうなとぼんやりイメージはしていました。10ヶ月間、かかとの共演シーンもたくさんあって、その中で娘が本当のお母さんにふとした仕草が似てくるのと同じように、自然に演技に出たのかなと感じています。2016年は『とと姉ちゃん』に出演したことによって、たくさんの人たちに名前を知っていただき、新しいシゴトをする機会、お芝居に関わる機会も増えた充実の年になりました。2017年は、もっともっとたくさんお芝居をして、見てくださった人の印象に残るような女優になれるよう頑張りたいと思います。