「an」×サッカーキング セルジオ越後に1日密着。辛口調査スタッフ大募集!!〜レポート公開中〜

「an」超バイト企画で募集した『セルジオ越後氏に1日密着。辛口調査スタッフ』3名の辛口調査レポートを公開!
果たしてセルジオ越後氏は本当に“辛口”だったのか!?

辛口調査レポート

ちゃそさん

ちゃそさん調査結果
『セルジオ越後さんは“辛口”』

セルジオ越後さんは『辛口評論家』と呼ばれる人なので気難しい人かと思っていたが、開口一番に「賞金金額がいいから来たんでしょ?(笑)」と言われ、本当に辛口なのだろうかと思うほどユーモアのある人であった。

日本のサッカー文化が成熟するため、Jリーグが提唱する『百年構想』を実現するために、日本のサッカーはどう変わるべきか。サッカー文化が成熟しているブラジルから日本に来たセルジオ越後さんの考えを聞いてみた。...

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まずセルジオ越後さんに「日本がイングランドやブラジルのようになるためにはどうすればいいのか」と質問したところ、「日本でサッカー文化が根付かせるのは難しいよ」という答えが返ってきた。第一印象の優しそうな印象とは打って変わって、やはりサッカーのこととなると『辛口評論家』と呼ばれる雰囲気が出てくる。

セルジオ越後さんの母国ブラジルは、熱心なカトリック教国であり、日曜日は休息日と定められ、仕事をしてはいけない曜日となっている。そこでサッカーを見に行く習慣があるのだ。日本ではすべての人が休んでいる日は存在しない。ただ、最近の日本代表の躍進によりサッカー人気はそのような日本でも高まっていると言える。セルジオ越後さんに言わせると、日本での人気の出方も問題であるという。サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)の宮間あや選手の「ブームから文化に」という言葉にも見られるように、日本では『ブームとしての人気』、『アイドルとしての人気』が著しい。「このような人気の出方では文化になることはできない」とセルジオ越後さんは言う。

また、育成においても問題点はたくさんあるという。ブラジルでの幼少期は、地域の人たちが学校や仕事が終わり次第、どんどん集まってサッカーをしていたそうだ。そのため年齢も時間も制限がない。年上の人と一緒にプレーすることで技術が磨かれ、得点でゲームの終了を決めることで得点力が磨かれた。また、ブラジルでは『遊び』としてサッカーをしていたため、サッカー以外のスポーツもしていたという。それが逆にサッカーの面白さを引き出していて、結果的に多くの人がサッカーを好きになっていたそうだ。

日本におけるスポーツは『体育』の枠から逸脱できずにいるため、スポーツはクラブや部活動でするのが主流である。そのため学年別にプレーし、時間で決めたゲームをしている。また、複数のスポーツのクラブに所属している子供は少ない。セルジオ越後さんが自身のサッカースクールをしている中で、日本はサッカーを『普及』することよりも『強化』することに力を入れていると感じたそうだ。将来的にピッチで仕事をする選手もスタンドで応援する人も育てる。それがセルジオ越後さんの考えるサッカー文化を根付かせるための『普及』であったのだが、日本では多くの子にサッカーを教えるというより、将来サッカー選手になりそうな子にいい指導者をつけるという考え方のほうが強いそうだ。そのような『強化』では裾野を広げることができず、サッカー文化の成熟や、全体的なレベルアップは見込めない。

話を聞く中で何度も話題に上がったのが『なぜ各都道府県協会は会長選挙をしないのか』ということである。セルジオ越後さんが、日本のスポーツのあり方として一番問題に思っている部分であると思える。競争がないため新しい意見は生まれず、意見を戦わせる機会も少ない。元来、日本人は意見を戦わせることを嫌い、上下関係が厳しいため自分の意見を強く主張することは珍しい。しかしセルジオ越後さんは、思ったことをどんどん発信しないとレベルアップにつながらないという考えの持ち主であり、またブラジルには上下関係が存在しないそうだ。これもセルジオ越後さんが『辛口』な発言をする理由のひとつであると思う。

セルジオ越後さんから多くの話を伺う中で、想像していたよりもフランクで物言いも優しく感じたが、駄目なことは駄目とはっきり言うところが『辛口評論家』と呼ばれる理由なのではないかと思う。セルジオ越後さん自身は『辛口評論家』と呼ばれることに関して、「プロは辛口でコメントされるからプロ。甘口だったらアマチュアと一緒。お金をもらう以上、辛口のコメントをもらうようでなければならない」という。選手時代から思ったことははっきり言う姿勢であったセルジオ越後さんにとっては、『辛口』なのではなく、他が『甘口』なだけなのではないかと思う。セルジオ越後さんの『辛口』は、日本サッカーへの愛情表現のひとつであると、一日の密着スタッフ体験を通じて感じた。

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カズキさん

カズキさん調査結果
『セルジオ越後さんは“辛口”』

「小遣い稼ぎに来たな」と開口一番に私達辛口調査スタッフにジョークを言う。世間では辛口評論家と呼ばれるセルジオ越後さんに密着して調査することに少し緊張(ビビり)気味の私達だったが、一気に場が和み、1日密着がスタートした。

今回密着したのはFIFAワールドカップロシア アジア2次予選の日本vsシリア戦が行われる日。夕方にはテレビ解説のために会場の埼玉スタジアム2002へ移動することとなっており、午前中の空いた時間や取材のやり取りを通して、セルジオ越後さんの生い立ちや日本サッカーの成長を妨げている問題などについて聞いた。...

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セルジオ越後さんは日系ブラジル人2世としてブラジルの名門クラブ、コリンチャンスでプレー。当時はブラジル代表候補にまで選ばれるほどの実力の持ち主だった。セルジオ越後さんは自身の経験を通して、「サッカーの上手い下手は人種で決まらない」、「強い選手、チーム、国を作るには環境が大事なんだ」と熱く語ってくれた。

「ブラジルではサッカーは遊びでやるから、遊びたい人だけ、好きな人だけサッカーをする。その中で上手な人がクラブチームに誘われてようやく練習できる」

「日本はクラブや部活で強制的にやらされることがある。ブラジルでも嫌いな人や飽きた人はサッカーをしないよ」

セルジオ越後さんは日本に来て、スポーツを習い事のように捉える社会に違和感を覚えたそうだ。サッカーの楽しさを子供たちに知ってもらうために「さわやかサッカー教室」(「アクエリアスサッカークリニック」)を全国各地で1000回以上開催し、参加者は延べ60万人にも上るという。その中には、中田英寿、城彰二などプロで活躍した選手も多くいるが、あくまで目的はサッカーの普及と、楽しさを知ってもらうことだそうだ。

「サッカー教室に参加した人がプロになって試合に出ることより、お客さんとしてスタジアムを埋めてくれることが僕の願い」

そんなサッカーの楽しさを広める活動を行っている一方で、日本代表の試合を中心としたサッカー解説においては厳しい意見を発することで知られ、辛口評論家と呼ばれている。

「世間では辛口と言われていますが、自身ではどう思っていますか?」という質問に対して、「プロはお金を貰っているのだから結果を出さないといけないし、入場料を払って観に来ているお客さんにいいプレーを見せないといけない。厳しいアドバイスだとは思うが、何も言われなかったら終わりだよ」と答えてくれた。

そんなセルジオ越後さんの元には、プロの選手から「今年も辛口でお願いします」という年賀はがきが届くらしい。セルジオ越後さんは現役を引退した後、病院で順番を待たずに診察してもらえたり、遠征先で高級なホテルに泊まれていたのは自分がプロサッカー選手だったからということに気付いて、プロの待遇や環境の良さを実感したという。その経験を踏まえて、選手にプロとしての意識を高く持って欲しいという思いもあるそうだ。

そしてワールドカップ アジア2次予選の日本代表対シリア代表戦。日本戦以外で全勝したグループ2位のチームを相手に、日本は5-0(1-0,4-0)で勝利。多くのメディアは「大勝」と報じる中、セルジオ越後さんは勝利を褒めることなく前半の得点力不足や、選手層の薄さを指摘した(http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20160330/425839.html)。

セルジオ越後さんの試合についての感想を受けて、2次予選の2位相手に大勝したことは結果だけを見ればとても喜ぶべきことだが、今後待ち受ける厳しい相手との対戦を見据えるとうかうか喜んでいられない内容だとも思えた。

シリア戦での得点パターンは、最終予選の対戦相手にも通用するのか、自分たちのミスから生まれたカウンターのピンチをしのぎきれるのか。大勝した試合でサポーターが喜ぶ中で発せられる辛口なコメントは、今後を見据えて冷静に考えると適切な指摘に思える。

今回、セルジオ越後さんに1日密着し、本当に辛口なのか調査した。結論を言えば、確かにセルジオ越後さんは勝った試合にも厳しいコメントをしていて「辛口だな」と思った。

しかし、その対象はプロの選手のみであり、私達密着スタッフに対しては、ジョークで場を和ませる、普段は冗談で人を笑わせる温厚な性格の方だった。
「辛口なのはプロの試合だけ。高校サッカーの解説は甘口だよ。だってプロじゃないからね」

私は、サッカー教室を開いて「サッカーというスポーツは楽しいんだ」ということを知ってもらうための普及活動をしているセルジオ越後さんが、辛口なコメントをするのは2つ理由があると考えた。

1. プロとしてより高みを目指してほしいから
セルジオ越後さん自身がプロになって感じたように、プロに与えられる素晴らしいサッカー環境や、給料を貰ってサッカーができているという現状を、現役の選手は自覚して、よりいいサッカーをすることが仕事だと思ってほしいという気持ち。

2. 子供たちが憧れるような選手、チームになって欲しいから
次の世代を担う子供たちがプロサッカー選手に憧れてくれるように、今の日本代表がいいプレー、いい成績を残してサッカー界をもっと盛り上げてほしいという願い。

辛口なコメントは日本のサッカーが強くなって欲しいという愛情の裏返しとして、セルジオ越後さん自らがランドマークとなり警鐘を鳴らすことで、日本サッカー界を鼓舞し続けているのだと思った。

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INUUNITED

INUUNITEDさん調査結果
『セルジオ越後さんは“辛口”』

「うおー!!!セルジオ越後さんだー!!!」……そんな平凡すぎる第一印象を抱いてしまうほど、セルジオ越後さんは“セルジオ越後”然としていました。今までテレビや雑誌で見ていたそのままの『セルジオ越後』がそこにいたのです。あの顔、あの体格、あのイントネーション!(カメラが回ってないところでもイントネーションはあのままでした!)

そして、ジェフユナイテッド千葉のユニフォームを着てインタビューに臨んだ僕に開口一番「ジェフのことは聞かないでね(笑)」。ジェフに関する質問を大量に用意していた僕としてはドデカい先制パンチを食らった気分です。...

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圧倒的存在感、圧倒的セルジオ越後。僕たちは彼の放つオーラに飲み込まれそうになりましたが、ジョークを交えながら気さくにお話してくださったおかげで、比較的すぐにリラックスすることができました。数十年間のサッカーコメンテーターキャリアは伊達じゃありません。豊富な知識を僕たちにもわかりやすいように噛み砕き、流れるように論理を展開する。インタビュー中はほとんど言葉に詰まることもなく、ずーっと喋りっぱなし。やっぱりスゴいです、この人。

本企画に参加させていただくにあたり、セルジオ越後さんの著作を何冊か読みました。その中でずっと一貫して言い続けていることは、「競争の大切さ」です。批判のための批判を繰り返しているという意見もありますけど、それは誤解だったり、論点が違ったり。「正当な競争ができているか?」という視点が考え方の根底にあり、そこは20年以上前から全くブレていないんです。

考え方が合わないって人はもうしょうがないですが、ちょっとでも共感できる方は注意深くセルジオ越後さんの発言をチェックしてみてください。僕の目には、日本サッカー界に「いい競争をしようよ」という提言を続けているように映ります。それこそが、来日してからずっと日本サッカーを見つめているセルジオ越後さんの愛情なのではないでしょうか。

願わくば、セルジオ越後さんにも「辛口コメンテーター」としてのいい競争相手が現れますように……でも愛情のないただの辛口はダメですよ。それじゃセルジオ越後さんの競争相手には、なれっこないもん。

結論、セルジオ越後さんは“愛のある辛口”でした!

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セルジオ越後

セルジオ越後氏より

こういった企画でJリーグが好き、サッカーが好き、といった人と触れ合うことは初めてでとても興味深かったよ。「an」はアルバイトのサービスだけど、バイトでも、就職でも、これからサッカー業界で働きたい、という人たちには、特定のチームや選手のことだけでなく、サッカーというスポーツそのものへの知識を深めてほしいね。一口に「サッカー業界」と言っても様々な仕事がある。メディアの中でも取材をして記事を書くジャーナリストになりたいのか、サポートをする裏方になりたいのか。チームのスタッフという限られたポストに就くにはどうすればいいのか。サッカー番組や専門誌の数も少ない日本の環境の中で、「サッカーを仕事にする」というのは簡単なことではないけれど、自分が目指すものを明確に色々なことにチャレンジしていってほしいね。

調査結果

3人ともセルジオ越後さんは“辛口”という見解でした。
ただし、その辛口コメントは単なる批判ではなく、しっかりとした理由があるようです。 ぜひ皆さんも今回の調査結果を踏まえて、セルジオ越後さんのコメントが辛口かどうか調査してみてください!

追伸・・・ランチのコーヒーは、砂糖たっぷりの“甘口”でした。

サッカーキングでは、辛口調査スタッフの密着取材体験の様子を公開中!
http://www.soccer-king.jp/news/japan/20160418/430654.html

「an」×サッカーキング

セルジオ越後 サッカー解説者

1945年(昭和20年)7月28日 ブラジル・サンパウロ市生まれ(日系2世)

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。非凡な個人技と俊足を生かした右ウイングとして活躍し、ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和不動産(とうわ不動産)サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了した。エラシコ(elastico)というフェイントの創始者と言われる。来日当時から少年サッカーの指導にも熱心で、1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)の認定指導員として全国各地で青少年のサッカー指導にあたる。ユニークな指導法とユーモア溢れる話術で、現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の人々にサッカーの魅力を伝えてきた。2006年には文部科学省生涯スポーツ功労者として表彰される。2013年「日本におけるサッカーの普及」を評価され外務大臣表彰受賞。現在ではHC栃木日光アイスバックスのシニアディレクターや、JAFA日本アンプティサッカー協会スーパーバイザーとしても活動中。

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